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1.如何に強大な精神や力といえども知性なくしては『無』に等しい。 2.美しき旋律も、音を語る言を持たずしては心にも『留』めがたし。 3.愛も信仰も同じ様に日々のささやかな勤行でのみ『維持』される。 4.明日を最も必要としないものが、最も快く明日に立ち『向』かう。 5.大胆は無知と卑劣の子であって、他の資格よりはるかに『劣』る。 6.言葉を用いて奏でる者は才能に在らず、ただの記憶に『過』ぎぬ。 7.節度と正義は、ただ優者のみが勝手に利用しうる『名目』である。 8.心は正しい目標を欠いてしまうと偽りの方向にはけ口を『作』る。 9.何らの苦しみにもあわずして、何人をも幸福とは『呼』ぶなかれ。 10.人間とは理性によって自己自身を破壊する能力を『有』している。 |
アーティスト名 / te' 作品名 / それは、鳴り響く世界から現実的な音を『歌』おうとする思考。 発売日 / 2007年9月12日 品番 / ZNR-038 レーベル / 残響レコード 定価 / ¥2,300 |
歌を必要としないte'という音の塊。その音の波の中に身を投じた時常々感じることがある。それは何故だかはわからないのだが、あたかも歌が存在しているかのように感じる事ができるのだ。ある種パラレルワールドからやってくるかのような無音にして有。ないはずのパートが耳の奥をほじくるように入り込んでくる、そんな感覚に陥る。いや、陥るのではなくもはや存在しているのかもしれない。
彼らの音楽性は、楽器を演奏しているといった簡単なものではなく、もはや彼らそれぞれが内包している人間としての有り様を伝える為、あくまで媒体として各楽器があるとさえ思えてくる。人が真実を伝えたい時に言葉はあまりにもチープで、不確実なモノでしかなく、それ故彼らが発するメッセージは言葉を必要としないのかもしれない。そして真実の音であるということがはっきりとわかってくる。
そんなte'が満を持して世に送り出す、今回の新作を紐解いていくと、やはりド頭から完全に規格外の溢れ出しかたをしている。M1の『如何に強大な精神や力といえども知性なくしては『無』に等しい。』が始まったと同時に、そこはもう通常の空間ではなく、te'の作り出すフィールドに支配される。様々な粒がぶつかり合う迫力に満ちたサウンドの先には広大な世界観が広がっていて、勢いや疾走感などともまた違う、限りなく純粋な超越感ともいえるものがそこにはある。叩きつけるパワーと繊細のパラドックスが展開され、「曲」というミニマムな存在をを最大限に引き立てる魔法が施されていく。これほどまでに「画」が浮かぶサウンドに出会ったことはないし、全てが内包されたサウンドが脳裏に焼き付くこの感覚は、恍惚というベクトルに昇華していく他、出口がみつけられない。
また楽曲毎に鮮烈なまでのテーマが見えてくるのも特筆すべき点か。トラックを進めていくと、様々な「狂気」というものが形を変えて表現され、張り詰めた緊張感と安堵感あるクリアーさが同居しているのだと感じる。M8などは正に1曲目とはかけ離れた印象で、。ゆっくり流れるサウンドの中に、何故だか危機感のようなものを感じ、変わらず進んでいくループの中で、何故だか無限とも思えた時間が展開をしていく様を感じる。サウンドだけではない、極限まで音と言うものにつめられた感情と言うものを感じる事ができる。
一つ一つの音色が問いかけてくる「たおやかさ」「緊迫感」「炸裂感」「ドライブ」全てにおいて唯一無二であり、他の追随を許さない圧倒的な個性。ジャンル分けなんていう言葉が酷く安っぽく思えるし、te'の本質が、実態がどこにあるのかそんなことすらどうでもよくなるくらい、このたびの新作を彩る10曲の想念に「あてられて」しまったと言う他ない。
この浮世とも言うべき病んだ世界において、現実的な音を「歌」い続けるte'。彼らの思考の終着点を、是非見届けたいと願うばかりだ。
Artist:te'
Review by Low-K(audioleaf) at 2007.09.12
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