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TorN New album -凍音- レビュー

TorN

凍音 - New Album

凍音 収録曲
1Ambience
2Flowing
3漂流 -CAST AWAY-
4Color of the Sky
5My World
6醜話 -The Ugly Story-
7Somebody Like Me
8SLY
9君のいない世界
10葵 -cerulean-
アーティスト名 / TorN
作品名 / 凍音
発売日 / 2007年10月31日
品番 / ART-1002
定価 / ¥2500

和製女性モダンヘヴィネスの旗手とも名高い、横須賀出身の4人組TorN。衝撃のシングル漂流から3年、奇跡のシングル葵から半年そのTorNが贈る渾身のデビュー・フルレングス『凍音』。

変貌を遂げ続けるその音楽性は、フロントマン Mitti嬢の艶やかな程に哀情豊かな歌唱を前面にしての、ヴォーカル・オリエンテッドなフィメイル系メロディク・ヘヴィロック。しかしその醸す透明感を帯びた叙情性は実にメランコリックだし、何よりもスカンジーなまでにドえらくゴシッキーだったりするから興味深い。それ故に今や多くのメタラーの間でも注目を集めているというのも伺える。

確かに彼女の歌はしっとりと滴るように濡れそぼち、そこに漂う吸湿性の悲哀感は、ゆったりとした荘厳な激性のなかで艶めかしき色気をぬらぬらと身に纏っている。そんな麗しくも儚げな姿は、例えば LACUNA COIL 辺りの一級品北欧産ゴシックメタルに迫る美性に溢れているし、それでいてしっかりと日本音楽シーンに適応できるだけのポップネスをも兼ね備えている。

その一方で、ギターリフやデジタルビート、空間系エフェクターによる拡がりなどは、昨今のミクスチャーロック、モダンヘビネス との共通性も少なくない。でもそのブレンドの絶妙さがいちいち気持ちよくて、時折音全体を包むかのように奏でられるヴァイオリンの音色なんかも、ありきたりにならない所以なのかもしれない。TorNこそが日本の女性Vocalモダンゴシックのあり方を提示しているように思える。モダンゴシック系といえば、その人気が昨今の北欧ムーブメントの影響にあるものなのかといった解析は俺には判らない。しかし少なくとも欧州ゴシック・ポップ辺りに比べると、あきらかにポップ感にたけていて、日本人としてこの手の音楽に入っていくには非常にいい意味で分かり易いのではないだろうか。なんていうか、洗練がうわ手というか、やっぱりポピュラー・ロックとしての磨き上げは日本人の方が一歩勝るものがあるようにも見受けられた次第。なんて、比べるのもどうかとは思うのだが、しかし例えば叙情派ハードコアのエッセンスや、このところ増えてきた知性ヘヴィネス、メタリックなダークネスを含んだギター、ベタとはいえダサくならないインダストリアル処理の手腕などにも、それは伺える。

また、今回のアルバムはシングル曲の再録曲も多く収録されているわけだけど、どれもが音色を変化させたりするだけでこんなに表情が変わるものかと驚かされる。改めて「醜話」「漂流」なんてスケール感、コード感が最高に調和された曲なんだと気づく。そしてどれもが日本人ならではのどこか歌謡曲的アプローチを含みノスタルジーを刺激する。元々メタルなんてど演歌なわけだから、日本人として極自然に取り込んでいるというように思える。更にアルバム全体としてゴシック調で塗り固めるのかと思いきや、「Color of the sky」で思いっきり裏切ってくれたりと、いやはや聞き所はつきない。

とにかく全編通して聞き終わってみて感じることは、まだまだ浸透しているとは言い難い、このゴシック、ヘビィシーンにおいて、非常に重要な一枚になると想像できるし、これから巻き起こるであろう大きな波の中心には彼らがいるんじゃないかということ。

この暗く淀んだ世界だからこそ、彼らの音の中枢に感じる「絶望から来るプラス思考」とも言うべきパワーが必要なんじゃないだろうか。

Artist:TorN
Review by Low-K(audioleaf) at 2007.10.22

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