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NORTHERN ROOMニューアルバム『LAST EMBRACE』レビュー

2007年4月06日17時39分 in レビュー

LAST EMBRACE

LAST EMBRACE

1.WAITING
2.FOR ALL THESE YEARS
3.WE’RE ON FIRE
4.DUTCH RADIO
5.STARS OF GOD
6.LAST EMBRACE
7.GALAXY
8.LET ME OUT
9.EVERYDAY
10.THIS WRECKAGE
アーティスト名 / NORTHERN ROOM
作品名 / LAST EMBRACE
発売日 / 2007年4月6日
品番 / TRVE-0004
レーベル / TRIPLE VISION Entertainment
定価 / ¥2,200

王道ポップス。そんな定義がどこに成り立つのかは些かわからないけれど、国内外問わず普遍的かつスタンダードなサウンドというものは、何時の世も永遠に語り継がれるということが少なくない。ビートルズしかり、U2しかり、王道と呼ばれるロック、ポップスを歴史に残してきたアーティストは『王道になる』というようなことを、特に意識したわけでもなければ、傲慢でもないのだろう。ただただ、より多くのオーディエンスに届ける為にはということを模索し、時代背景を投影し、独自の感覚で「名曲」というものを世に送り出してきたように思う。

そしてそれら「王道」が残したスピリットは、新しい時代へと移り変わった今でも確かに息づいているということを感じた。それがこの「NORTHERN ROOM」の新作フルアルバム「Last Embrae」を聞いた率直な感想だった。

一聴してそのサウンドのクリアさ、整合性はUKを感じさせるが、どこか土臭く、Vocalアンドリューの伸びのあるハスキーな声がサウンド全体を包容しているような雰囲気はアメリカンロックであるということを再認識させるのに充分な説得力のように思う。 また彼らの紡ぐ音が、透明感を持つと共に、荒々しさやパッションというものが非常に内包されているという部分もそれらを感じさせる要因の一つなのかもしれない。 込められた思い、誠実な音作り、全ての原因が結果となって現れるのが音楽だとしたら、ここまでその人となりをCDやライブから感じさせてくれるアーティストも珍しいかもしれない。

trac4収録の「Dutch Radio」など、いい例かもしれない。フック部分での同じlyricの白玉復唱は、上記の要素がその短い1フレーズに完全に凝縮されている。ジャンルを超えて涙を流せるのが「名曲」ならそういって差し支えないように思える。track7収録の「Galaxy」もしかり、私が思うキラーチューンに関しては、確実にライブで聴いたら背筋に来るなと。演奏が終了したときには自然に手をあげてしまうだろうなと。悪い言い方をすれば、正直私に関しては、完全にアーティストの思いに感化されはめられてしまったと言っていい。ともあれ、オープニングのハミングで入り込んでしまったのは久しぶりの感覚だった。

更に、記述のようなクリア感やPOP感などだけではくくれない所にも魅力がある。track1や3にはエモショーナルなドライブ感、エッジの効いたビート感と、懐の深い音作りが伺える。アルバム一枚を通して効くと、まるで荒れた時化も凪いだ波も時によって様々な表情をみせる、「海」に漂っているような錯覚に陥る。そして変化を見せる海を見据えるかのように普遍であるメロディーが大地と思しき礎として居座る。 おそらく全ての面においてバランス感覚というものが良いバンドなのではないだろうか。

様々な王道としての系譜、サウンドの伝統を継承しながらも、自らの唯一無二の感性によって昇華させた、このアルバムは私にとっては間違いなくマスターピースとなった。

普遍であることの素晴らしさ、スタンダードでいられることの素敵さ、改めて多くの人にもニュートラルな気持ちを持つことの難しいこの現代だからこそ、NORTHERN ROOMを通して知って欲しいと思う。

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最終更新時間:
2014年05月12日16時39分