audioleaf WEB MAGAZINE

大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.4

2009年9月11日20時02分 in レビュー

こんにちは。あっという間に夏は終り、日が沈むのも早くなりました。秋の夜長に宅録なんてちょっとオツじゃないですか。
前回に引き続きBEHRINGER社の小型ミキサーXENYX1202についてレポートしたいと思います。今回は楽器+アルファ編。楽器はベースとギターの音をマイクで録ってみました。

テスト環境は前回と同じく、bazookaが用意したGMLの高級マイクプリアンプとの対決。まずはベース。今回は楽曲の中での聴こえ方を厳密にテストする為、とある楽曲を用意して、DIで録った音をアンプで鳴らす「リアンプ」という方法を試してみた。このリアンプは特にクオリティを求める宅録派にとって有効な手段になるし、プロでも時間のない方や、逆にジックリ音を作り込みたい場面などで使用する。方法は簡単に説明すると、まずベースやギターをラインで録り、それをインターフェースからアウトプットしてあげてベース/ギターアンプに入れる。そこでアンプの音を作ってあげたのちにマイクで拾って再度録音してあげるという方法。注意点は、ベース/ギターのジャックから直接出ている音と、インターフェースから出る音は、音量レベルが違いすぎる事。インターフェースの音は大きすぎるので、何もしないとアンプの音がバリバリ歪んでしまう可能性があるので、自分でやる時にはラインで録ったベース/ギターのトラックの音量をメチャクチャ下げてあげる事。また一番良い方法は各社から出ている「リアンプボックス」なる専用の道具を使って音量を下げ、インピーダンスをマッチングしてあげることだ。今回のテストではプロツールス上ではレベルを下げず、トランスを使ってインピーダンスをマッチさせた後、「パッド」という抵抗を使って音量を下げるものを使用した。



ベースアンプにはSWRのレッドヘッドを使った。SWRはどちらかというとハイファイ系でハッキリした音が特徴。このアンプにAKG C414ULSという、前回の歌録りでも使ったオーソドックスかつ素直なマイクを立てた。まずGMLマイクプリアンプの音を聴いてみる。SWRのアンプのレンジの広い音を、シッカリとらえている。素晴らしい。次にBEHRINGERのマイクプリを使った音を聴いてみる。ほんの気持ちだが重心が上がったか?超低域が少ないせいかも知れない。また音の密度感は少ない。若干の荒れた感じが足されている。そうは言っても決して悪い音ではない。しかし悪い音ではないにしても、ベースを専門にやってる人がとりあえずの気持ちで選ぶミキサーでは無いというのが正直な感想だ。

次はギター。楽曲がクランチなギターを想定していたので、FenderのViblolux Reverbを使った。高域の倍音が美しいアンプだ。レンジを広く録ってあげたかったので、マイクにはSENNHEISERのMD421(通称クジラ)を選んだ。GML、思ったとおりの良い音。余談だがギターアンプもベースアンプも、アンプで作る音が良くないとお話にならない。なるべくスピーカーの正面で音を作ることも大事。マーシャルなどのアンプで、ヘッドのツマミとにらめっこしながら音を作るという状況は、スピーカーのほぼ真上で音を聴いている事になるので、高域が少なく聴こえている。その音が、例えばライブハウスのステージの下で聴くと、ほぼスピーカーの真っ正面に近い角度で耳に入ることになるので高音ばかりの痛い音になっているという事が少なくない。ステージの上で聴いていると若干地味に聴こえない事もないが、お客さんに最高の音で届けることを優先したい。また音量も出せば良い音になると思っている人も多いが、それも気をつけた方が良い。爆音でアンプの音を作ると、人間の耳の特性として低音と高音が多く聴こえ、ハデに感じる。それでヨシとしてしまうと、録ってみて小さい音で聴くとコモっていたり細かったりする。そういう細かいことを気をつけるだけでアンプの出音はグッと良くなるのでやってみて欲しい。
長くなってしまったが本題に入ろう。ギターに関しては、BEHRINGERは若干だが平面的になる傾向があった。しかし高級マイクプリアンプでは出なかった荒れた感じが歪みギターには合っている場面もあると思った。しかしクリーンな音になると、アタック感が少し粗い印象もあったので、超クリーンなアコースティック/クラシックギターには合わないと思う。

今まではマイクプリアンプ部を使った"録り音"のチェックを行ってきたワケだが、次は"ミックスバッファー"として使用してみた。まずミックスバッファーを簡単に説明する。プロツールスなどのDAWでレコーディングした楽曲を、プロツールスの内部だけで完結させるのではなく、いくつかのグループに分けてアナログで出力してあげたものをアナログ領域でミックスしてあげる事によって、デジタル特有の飽和感などを緩和させてあげることができる。それをこのBEHRINGER XENIX 1202で試みようというワケだ。
方法は、まずアウトプットがたくさんあるインターフェースを用意する。何通りかのステレオのグループを自分のなかで決める。今回は、グループ1がドラム、2がベース、3がギター、4がボーカルという4ステレオグループ。それをbazooka-studioのインターフェース192ioからアナログで出力し、XENIX1202の4つあるライン専用のステレオチャンネルに入力し、XENIX1202のアウトをさらに192ioのインプットに入力する。XENIX1202のツマミは各トラックの音量レベルだけを正確に合わせただけでその後まったく触れていない。そうしてプロツールスに新たに用意したステレオトラックに録音したものを、プロツールス内部だけでMixしたものと比べてみた。これは思いのほか悪くなく、それも「アナログ臭い良さ」というのでもなく、非常にクリアで再現性は高いと思った。SNも良い。"ミックスバッファー"を一度試してみたい人には良いのではないか。

次にヘッドフォンアウトの音質。これはbazooka-studio所有の特注CUEBOX、 REVAC社製の"響"と対決させる。手前ミソで悪いがこれはサイコーの音質だ。低域から高域まで解像度が非常に高く、それでいて耳に痛いピークも無く音に粘りがある。爆音でもカッコ良い音がする。BEHRINGERはどうか。かなり良い。厳密に言えば超低域は少ないが、解像度も悪くない。ただ大きい音にすると若干耳が痛い。とはいえこれも、フツーに使用するぶんには全く問題ない。実際、今までの同BEHRINGER社製品とは格段にレベルアップしている。



オマケで、この小型ミキサーを使ってドラムの音をEQしたり歪ませてみたりした。プロツールスのドラムのトラックをステレオで出力し、それをXENIX 1202のマイクインプットに入力し、GAINを大幅に上げ歪ませ、逆にチャンネルのボリュームは絞り、プロツールスに戻してみる。最初にかなり歪ませた時は、芯が無くなってしまい使えない音だったが、ドラムのアタックだけがビミョーに歪むようにGAINを設定すると、パンクなどに使っても面白そうな明るい歪み感が得られた。同じ接続で、GAINを適正な歪まないレベルにし、EQをいろいろ動かしてみる。…これは正直、使う場面があるのか?と疑問を感じた。EQポイントがビミョーで、とても使いづらい。細かい音づくりには使わない方が無難だろう。

まとめとして、このミキサーはちゃんと使ってあげれば非常に使いでがある機種だと感じた。ポイントを得たチャンネルの数が用意されているので、小型のオーディオインターフェースを使用している人が入力を増やしたりまた色々な楽器のアウトプットをまとめたり、CUEBOXとして使用するのも良いし、何よりもこの安い価格なので気軽にいろいろな事に挑戦する事が出来ると思う。

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分