audioleaf WEB MAGAZINE

大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.5

2009年9月22日13時02分 in レビュー

ギターという楽器はアンプの音まで含めて1つの音色と捉えられる事が多い。どんなギタリストにもお気に入りのアンプが必ずあるし、時には用途によって何台も用意する場合がある。種類も、真空管やトランジスタ、30cmのスピーカーを4発入りキャビネットを2段重ねた「壁」もあれば25cmを3発使ったコンボタイプもある。宅録ではもちろんそれだけのアンプを集める事も適正な音量で鳴らす事も不可能なわけで、もしそれが可能になる場合は宅録とは呼ばずプライベートスタジオといううらやましい環境になるので(笑)、本日のこのコーナーは読まないでもらってかまわない。では宅録で充実したギターの音を録るのは不可能なのかというとそんな事はなく、ギターアンプシミュレーターなる便利なギアがある。その名の通り、ギターアンプをシミュレートするエフェクターみたいなもので、各社から色々な機種が出ている。しかしシミュレーターと言えども各社ともに特徴があるので、どれが一番とも言い切れない。



しかしそんな中でもRoland社は、どこのリハスタにも置いてある超名作ギターアンプJC-120を製造しており、数少ないギターアンプの本物とギターアンプシミュレーターを作っているメーカーだ。ギターアンプのシミュレートも、マルチエフェクターの一部として搭載するなどして、かなり古くから行っている。そしてもちろん、自社が作ったJC-120のサウンドをシミュレーションするという事もやっている。今回はBOSSブランドで2005年に発売したギターアンプシミュレーター"GT-Pro"の性能を試してみたいと思う。

テスト環境は、今月も1つの楽曲を用意し、そこにDIで録音しておいたギターの音を素材にした。
それを、GT-Proに通したものとbazooka-studio所有のJC-120実機と比べる。どれぐらいの再現性を持っているのか、またシミュレーションされることにより何か傾向のような物が分かるのか。またはGT-ProとJC-120はどちらも全く同じ音がしてしまうのか、といった事をチェックしたい。
ちなみにこのGT-ProはUSBケーブルでPCとつなぐことによって、エディターソフトで設定を変えられたり、その設定を保存したりすることが出来るが、第一回目はあえてそれを使わずに"単体ギターアンプシミュレーター"としての使いやすさもチェックする。

始める前に接続コネクター類を見ていきたい。まずフロントパネルにはINPUTとPHONESの穴が開いている。INPUTにギターを接続し、PHONESにはヘッドフォンを接続しよう。リアパネルに廻ると、DIRECT OUT/TUNER OUT、MAIN OUT、SUB OUT、SUB OUT XLR、PRE LOOP SEND-RETURN、LOOP 1/2 SEND-RETURN、などたくさんついているが、今回は時間も無くて基本的なギターの音質のチェックにとどまった。

対する本物のアンプは先にも述べたとおりbazooka-studio所有のJC-120、それにSENNHEISER MD421というマイクを立て、GMLの高級マイクプリアンプに入力する。
GT-Proの方はアンプにJC-120を選択し、マイクにもMD421のシミュレーションを選ぶ。ちなみにマイクのシミュレーションはSM57、MD421、C451、U87といった機種が選択できるようになっている。

この状態で両者の音を出して聴き比べてみたところ、正直かなり違う音がした。本物のJC-120の方は中高域にピーク成分が出て、音が細い…ショックだ。スピーカーユニットのメタルセンターキャップ特有の音なのか?GT-Proの方は厚みがあってクリアーで輪郭もよく見える。リアルかと問われればリアルではないと言える。しかし本物のJC-120の音も、もう少しマシな音で比較したいと思い、あらゆるマイクの位置と角度を試すが、どうしても嫌なピークが音に乗る。ふと気付くと、向けられたマイクはMD-421Ⅱ(つー)だった。それはMD-421の新型という事なのだが、それを旧タイプのMD-421に変えた所ピークは消えた。レコーディングではこんな少しの事で結果が大きく変わってしまう事も多いのだ。その状態で両者を再度比較しなおすと改めて色々な事が分かった。簡単に言うとGt-Proの方はJC-120の音をとても美化していると思う。それは決して悪い音では無く、オケの中でも非常にクリアーかつ厚く、安定した鳴りをもたらしてくれる。低域から高域まで広いレンジをシッカリ出している。欠点は、やはり空気感までは完全に再現されないという所か。"わび"とか"さび"みたいなのは期待しない方が良いだろう。また、マイクのシミュレーションも、なんとなくの傾向は表現されているが、SM57の固い感じやU87の粘る感じなどの細かいニュアンスまでは完全に再現されているとは言えず、あくまで雰囲気を変える目的と思った方が良いだろう。しかし自宅でとりあえずクリアーなJC-120の音が欲しいといった場合には最適だと思う。

フロントパネルでの操作感は十分に分かりやすく、単体で音を作り込めるのは非常に気に行った。
次回はMacにつないでの操作について書いてみたい。

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分