audioleaf WEB MAGAZINE

大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.6

2009年10月20日19時56分 in レビュー

自宅でギターを納得いくまで良い音で録る為の道具、ギターアンプシミュレーター。数ある機種のなかからRolandがBOSSブランドで出している"GT-Pro"を、前回に引き続いてレポートする。

今回は、USBでパソコンとつないでみるという事をやってみた。その為に、若干ではあるが連載第一回で禁じ手にした「取扱説明書を読まない」ルールを破らせてもらった事をお断りしておく。

USBケーブルで手持ちのパソコンとつなぐとどんな利点があるか?一番大きいのは操作性の向上だろう。この機種は本体だけでも十分にわかりやすい操作性を持つが、それでもパソコンのディスプレイ上でマウスを使うのにはかなわない。本体のボタンと画面だけで設定するという古来の方法では、まずどこをどう操作すれば望む設定が出来るのか、頭に全て入るまでは取説を必ず横に置いておかなければならない。愛用していた機材の取説は必ずボロボロになったものだった。それを横目に幅5cm高さ2cmのデジタル表示の小窓の正面に頭を固定してダイヤルと左右の←→ボタンで設定画面を呼び出し、Enterを押して設定を記憶するという操作をしなければならないのでとても首と目が疲れる。また自宅のスペースの都合上、機材を床に近い所に置いた場合などは、寝そべって設定を行うことになってしまう。そんな事は昔は普通だったのだが、今はそんな事する必要は全くない。取説だってpdfファイルになっている。

そんな理由で、パソコンにつないで操作するのはとても便利でありオススメする。とは言え、なにも面倒なことが無いかと言うとそうでもない。パソコンにおける全ての「めんどくさいリスト」の、たぶん一位に鎮座すると思われる「インストール」というものがどうしてもつきまとう。ここで挫けないでガンバってみて欲しい。ここでは細かい部分までは省かせていただくが、ザックリと説明したい。

まず取説の「パソコンと接続して使う」の項目を見ると「付属のCD-ROMからドライバをインストールする」みたいに書いてあるが、イキナリここは無視してRolandのサイトに行き、「最新ドライバ」をインストールして構わない。前回も書いたがこのGT-Proという機種は発売されて何年か経っている。その間にWindowsもMacもOSのヴァージョンが変わっている(よーするに新しくなっている)と思われるので、Rolandのサイトに行き、最新のドライバをダウンロードして使う。「Roland Gt-Pro ダウンロード」とググッたら出てきます。そのページの中から、自分のパソコンに合ったドライバをみつけてダウンロードすれば良い。

その次に、GT-Pro Editorというソフトを、こんどは付属のCD-Romからインストールする。ここまでインストールしてやっとGT-Proをパソコンで操作できる。おつかれさまでした。


今回も前回同様、とある楽曲の中のライン録りしておいたギターの音をGT-Proに入力し、GT-Proのアウトプットを別のトラックに立ち上げて音色をチェックする。

まずアンプ部分。アンプの設定ウインドウに行くと、2台分の設定画面が同時に出ていて、これをクリックで切り替えながら聴き比べる事が瞬時にできる。AとBに別のアンプを立ち上げておいても良いし、同じアンプで微妙な音色の差を作り楽曲の中で聴き比べるのもアリだ。
モデリングされているアンプでJC-120以外のアンプの内容は、Fender TW(ツイード)、T-AMP(謎…元のアンプが分からず)、R-FIER(謎)、BG(ブギー)、MS(マーシャル)、COMBOカテゴリーの中に入ってVO(VOX)、MATCH(MATCHLESS)、SLDN(ソルダーノ)、5150(そのまんま) となっている。各音色を試すが、どれも特徴をよく捉えていると思う。Fender TWは枯れた感じが良く出ているし、マーシャルは明るく前に出る。どれも良い音だ。本物のギターアンプから出る「余分な帯域」は抑えられているし、マイクを間違った場所に立ててしまってピーキーな音(変に耳に痛い音)になる事は全く無く、楽曲の中で使いやすくなっている。だが歪みが多い設定になってくると、どうも倍音成分が似た感じになってしまうのが惜しい。真空管アンプを極限のセッティングにした時のような暴れのような物も残念ながら無い。しかし音色を切り替えながらサクサクとデモを録ったりアレンジしたり、また本番のレコーディングで本物のアンプを使っているがどうしてもクリーンな音がそのアンプから出ないという時には非常に使いやすいだろう。

次はコンパクトエフェクターの部分。まず歪み系が色々入っていて楽しい。OD-1、T-Screamer、RAT、MUFF FUZZ、GUVなど、往年の名機がシミュレートされている。次にリバーブ。「Rolandのデジタルリバーブ」といった感じが良い。しかしギターアンプについているリバーブの感じは出ない。スプリングリバーブも選択できるが、あまり良くないな…。他にもSlow Gear Guitar Sim(ギターシミュレーター)など、なかなかプロツールスのプラグインではお目にかかれない物が多数あり、とても楽しかった。

EQ画面はグラフ表示されとても分かりやすい。しかしプロツールス上で使っているEQと比べると、グラフのカーブの描かれ方が若干違い、違和感を感じるが、これは視覚上の問題なので、音色には関係ない。


ここまで基本的な音色をチェックしてみての結論は、「GT-Proは器用だ」ということだ。どんな音色も一通り作る事は出来るし、それを瞬時に聴き比べることもセーブして後に呼び出す事も簡単だ。POPS系の人などは、さまざまな音色を用意してすぐに使えるので便利だと思う。音色もはっきりした傾向にある。正直僕は欲しいと思った。しかしこれ1台だと1年後には飽きるような気がする。シミュレーターといえどやはりメーカーのキャラクターは出るようだ。PODも欲しいし、SANSAMPも欲しくなるだろう。さらにもっとさまざまなメーカーのシミュレーターも同時に欲しい。あえて各メーカーの個性を使い分けて遊びたい。そこまで使い倒せば、シミュレーターも立派な楽器の一つになるだろう。
結局この機種は…
綺麗なJC-120の音、優等生なクリーン、ブルージーな小型アンプのクランチ系などを求める人、コンパクトエフェクター感覚で内臓エフェクトを遊びたい人、買うべし!

メタルでズンズンしたい人、買わなくてよし!

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名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分