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大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.7 -amplitube fender その1-

2009年11月10日16時14分 in レビュー


今回は前回に続いてギターアンプシミュレーターだ。今回試したamplitube fender(あんぷりちゅーぶ ふぇんだー)はプラグインのタイプ。DAW(でぃーえーだぶりゅー:デジタルオーディオワークステーション→すなわちパソコンの音楽ソフト)にラインで録ったギターのトラックにDAWの中でエフェクターとして使用するタイプ。
条件は前回と同じ、楽曲の中で、DIで録ったものに対してこのシミュレーターをインサートし、色々遊んでみた。

amplitubeの音の流れをザックリと説明すると

TUNER:チューナー。チューニングができる。

stomp:アンプの前につないだコンパクトエフェクターをシミュレートしている。今回はamplitube fenderとのことで、この部分のエフェクターもfenderのものをシミュレート。

内容は、
fender blender:オクターブファズ。歪み過ぎる。
Volume:ボリュームペダル。マウスでは使えない。
fuzz wah:ファズワウ。これもマウスでは使いづらい。
fender phaser:フェイザー。BPM Sync付きで便利。
Fender 63 Reverb。単体のスプリングリバーブのシミュレーション。
Tape Echo:テープエコー。これもBPM Sync付きで便利。WOW&FLTR;ツマミで古いテープのヨレ、ゆがみなどを再現でき面白い。

AMP:アンプの、ヘッド部分をシミュレートするセクション。今回はここをメインにレポートしてみたいと思う。

CAB:ヘッドにつないだキャビネット(スピーカー部分)を再現したセクションです。"MATCH"のボタンをONにしておくと、前項AMPセクションで選んだアンプの純正スピーカーが自動的に選ばれる。これをOFFにしておくと、ヘッドとキャビネットで別々の機種を選択できる。オリジナルな音を作るのには良いと思います。また、アンプの音を拾うマイクの種類、位置、距離などもこのセクションで選ぶ。
また"Ambience"ツマミで部屋の響きを再現するらしいが、個人的な感想を言わせてもらえば単純なルームリバーブをかけているようにしか聴こえなかった…。リバーブのキャラの一種とすれば使えるか。


RACK:アンプをマイクで拾った音に対してかけるエフェクト。
Pitch Shift
コンパクトタイプのようなピッチシフターの質。DAWでは容易に高品質なピッチチェンジが行えるので、ちょっと試してみたい時や特殊な効果を狙うとき以外は使い道が無いかも。
Sine Flange:フランジャー。なかなか高品質。上品だがジェット機系の音は出ない。フェイザー的なニュアンスも強い。
Tape Echo:"Stomp"部にあったものと同様の音質と操作性だが、アンプの前と後では効果に違いがあるのでこの配慮はうれしい。WOW&FLTR;ツマミを上げるとテープの回転ムラによる揺れを再現してくれるわけだが、使いすぎると同じ音になってしまうので隠し味程度が良いと思う。
Triangle Chorus:上品なコーラス。だが、上記"Sine Flange"とキャラが同じなので、面白みには欠けた。
Wah: 止め鼻づまり的な使い方を想定しているのだろうか。オートワウのようなピッキングへの食いつきが無い。が、半止めワウとしては良い質。これをEQで作るのは難しい。
Complessor:4つのボタンでかかり方を選ぶだけという簡単なコンプ。スイッチを入れると音量が上がり必ず音が割れたので好きではない。効果もよく判らない…

今回のテストでは"MATCH"をONにして、AMP部にマッチしたキャビネットを使用。
マイクのシミュレーションは、ギターアンプでは57、ベースアンプでは414を選択。


'57 Deluxe
ツイードタイプ
操作はシンプルな1tone1Volume。
50年代から存在する伝統的アンプ。枯れた音で、シンプルで、泥くさい。

Pro Junior
現行モデルの黒革張りヴァージョン。
操作系は1tone1volume。'57 Deluxeより現代的。

Vibloverb Custom
Bright(ON/OFF),Volume,Treble,Bass, Mod/Stock,Reverb,Speed,Intencity
MOD/STOCK切り替えでかなり変わる。Stockでは本来のアンプの音。MOD (M odifiedの意) 側にするとスティービー・レイ・ヴォーンが使用していたという回路の再現になる。正にブルージーなクランチが増し、ザラザラとした輪郭が発生する。

'65 Deluxe Reverb
Volume, Treble, Bass,Reverb,Speed,Intencity
ブライトでタイトな高域が好印象
リヴァーブは中高域が前に出る、ビンテージテイスト溢れる感じ。

’65 Twin Reverb
Bright(ON/OFF),Volume,Treble,Middle,Bass,Reverb,Speed,Intensity
実機よりハイファイかつスマートな印象。
暖かい中低域のリヴァーブが最高に心地よい…。歌にもかけてみたい。
次回、バズーカ所有の実物と対決させてみたい。

Super-Sonic
Gain1,Gain2,Treble,Bass,Middle,Volume,Reverb
Gain1はインプットゲイン。かなり歪ませる事が出来る。Gain2は中低域がブースとされファットに歪みが増える感じ
リヴァーブはウエットな質感で中低域に奥行きがありこれもまた良い味がある。深くかけてアーミングしたい

Viblo-King
Dwell,Mix,Tone (ここまでリヴァーブのコントロール),Fat(ON/OFF),Volume,Treble,Bass,Mid ,Speed,Intensity
歪ませないアンプ。テレキャスのカッティングに使いたい。
リヴァーブは適度に暖かみをもつが現代的でハイファイなヌケを持つ。Toneを絞るとジャズに合いそうな上品な感じ。大人なジャンルの人にもおすすめ。

'59 bassman
Presence,Middle,Bass,Treble,Volume
ピッキングが弦をアタックした瞬間のクランチが素晴らしい。
ベースに使用しても、もちろん味のある音がする。超低域が膨らみすぎず、ジャンルによってはこれでしか出ない音があるだろう。

Bassman300
Ch1 Vol, Ch2 Gain,Ch2 Vol, Ch1/2 Mix,Low,High,Low Comp, High Comp,Comp EQ Bal. Comp Gain Trim,Master Vol,10バンドのGraphic EQ 、Deep,Bright,Mid Notch,Graphic(Graphic EQのON/OFF)。
ご覧のように、文字にすると気が萎えそうなくらいの複雑なツマミ構成を持つ。 一言で言えば現代的ベースアンプ。どちらかというと攻撃的な音。興味深かったので、少し突っ込んでチェックしてみた。以下は全て実測値である。
DeepをONにすると、80~200Hz辺りの低域がブースト。Mid Nochは600Hz付近がカットされドンシャリに。
Brightは2kHzくらいから上の中高域~高域にかけてブーストされる。
Ch1Volは純粋なインプットボリュームで、歪まない。
Ch2はGainとVolのツマミがあり、Gainを上げるとかなり現代的な歪み方をする。
ch1とCh2を切り替えたりMixできるのがCh1/2Mixツマミ。1にするとCh1の音、10でCh2の音が100%となる。要するにノーマルな音と歪みの音のミックスバランスを変えられるという事。
Low/High2バンドのコンプ。400Hz付近でゆるやかに分割されているマルチバンド。ツマミを上げて行くとそれぞれのコンプが強くかかるようになる。例えばLowコンプを強くすると低域のコンプレッションが強くなり、低域のツブは揃うが音量は下がる。またHighコンプを強くすると高域のコンプレッションが強くなり、高域の音量は下がる。それをうまくバランスをとるのがComp EQ Balツマミ、つまりバランスツマミ。となっている。
へヴィ系の人には持ってこいかも知れない。ベースアンプと言えばアンペグしか考えられないといった人も多いと思うが、アンペグの野太い感じがMixでは逆に必要ない時も多々ある。しかしaccousticの上品な感じやSWRのハイファイな感じとも違う。fenderでしか出ない音があるので、このBassman300のシミュレーションを選択肢の一つに加えるのも良いだろう。ただしやはりツマミが多いので
、ある程度音づくりの仕組みが分かっていて緻密に作り込む気持ちが必要かも知れない。

Champion600
こんどはVolumeのみ!
シンプルだがコンボの小さいキャビネットでしか出せない味が上手く再現されている。歪み方も本物にそっくり。ヴォーカルを通しても良い感じ。

MH-500 Metalhead
以前フェンダーから発売されていた、なんとメタル系のアンプ。
Drive,Volume,Presence,Treble,Mid,Bass
Driveは文字通り歪み。Voliumeもプリアンプ部のボリュームをシミュレートしているようで、位置によって音質が違う。具体的にはVolumeが低い位置にあるとブライトかつタイトな音で、上げるにつれてファットな傾向が出てくる。どちらの音も捨てがたい。しかしもちろん音量も変わるため、ツマミを下げ目で使う時は画面右下"Selected Module"部分のVOLを上げ、Volumeツマミを上げたセッティングにする場合は"Selected Module"部分のVOLを下げないと音量が小さすぎたり大きすぎて割れる事になる。ちなみにVolumeツマミは歪みそのものの量にはほとんど関与していない印象。

TBP-1
ベースアンプ
Volume,Deep(ON/OFF),Bass,Mid,Bright(ON/OFF),Treble, Tube Overdrive(ON/OFF),Gain,Volume,Blend,Vari-Q (ON/OFF),Freq,Level,Room(Deep-Bright), Master
Bassman300よりはベーシックで暖かい方向の音。
Deepはやわらかく低域を持ち上げる。Brightは超高域が持ち上がる。TUBE OVERDRIVEはその名の通り真空管をブーストした感じのウォームなドライブ感。VARI-Qは専門用語で言うとパラメトリック・イコライザなのだが、Freqで周波数を選び、Levelでカット/ブーストを行う。中域をカットしてドンシャリにしたり逆に持ち上げてピッキングのニュアンスを強調したりといった積極的な音作りも可能だが、ミックス時までガマンしてさわらないでおいて、ミックス本番に他の楽器とのバランスをとりながら要らない帯域をカットしたり、強調したい帯域をブーストするといった使い方もいいかも。

ここまでアンプシミュレーター全12種類の使用感をつらつらと書いてみた。全体的には非常に優れていて、「フェンダーらしさ」がとてもよく出来ていると感じた。特にアンプ付属のリバーブ部分は、フェンダーアンプの特長となっている部分だが、amplitube fenderはこのシミュレーションがとても優れていると思った。
次回はやはり、バズーカ所有の実物アンプとの比較をしてみたい。

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大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分