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大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.9 -FMR Audio PBC-6A -

2009年12月09日14時10分 in レビュー

今月から二回にわたり、見た目も小さくてカッコ良い上に、音も良さそうなささやかな贅沢品を2機種試してみた。

FMR Audio PBC-6A



とにかく小さくてカッコ良い!1/3ラックサイズでマウスパッドより小さい。しかし細部の造りはシッカリしている。
まずコンプレッサーとは「音量のバラツキを整える」という役割を持っている。具体的には、「ある一定のラインを越えた音量を抑える」となる。ようするに音を潰す効果があるのだが、音をつぶす事によって、音量にバラツキのある演奏をオケの中で安定して聴かせるような使い方から、また音に"圧力感"を加える事で迫力や勢いを増す事が出来る。人間の耳は非常に大きい音を聴くと、自然に強弱が少なく感じるようになる。これを、小さい音量でもシミュレートしてやろうというワケだ。


今回もいつもどおり、bazooka-studio 5.1でチェック。モニタースピーカーはラージにムジーク、スモールにFostex NF-1を使った。
左から順にツマミ類を見ながら、効能をチェックしてみたい。

DRIVEツマミは、コンプのかかり具合を決めるツマミ。max側にまわしていけば強くコンプがかかる。

次にKNEE。softにすれば、スレッショルド以下の小さい音量では優しく、スレッショルドを超え音量が大きくなるにしたがって強くかかるような、なだらかなカーブを描いてコンプレッションが行われる。hard側にすると、スレッショルドを超えた音量の信号を強くコンプレッションし、スレッショルド以下の音量の信号に関してはコンプレッションが行われない。


ATTACKは、文字通りサウンドのアタック感をコントロールする事が出来るので、コンプレッサーを使うにあたって非常に重要な役割を果たしている。アタックタイムが小さすぎるとアタックが潰れてしまい楽器の輪郭がボヤけてくる。アタックタイムが大きすぎると、同時にコンプレッションもされづらくなるのでコンプ感が薄くなってくる。音を聴きながらツマミを廻し気持ち良いアタックを探すことは重要。

RELEACEは、サウンドのサスティンや余韻などに関わってくるので重要。上手に使う事によって楽曲のグルーヴ感までもが変えられる。様々な楽器、特にドラムやブレイクビーツなどのリズムものにコンプレッサーを使用する場合は曲のテンポによってリリースタイムを調整する事で印象が大幅に変わるので、重要なツマミとなる。


最後にOUTPUTツマミがある。これは、Bypass(コンプをかけない状態)した時との音量差が生じた時に、それを微調整する為にある。後述する"Bypass"スイッチで素の音と聴き比べながら、音量差があれば調整する。


GAINリダクションメーター
通常時、コンプのかかり具合を視認するためのメーターである。DRIVEツマミをあげていくと右から左に向かって、音のアタックに応じてLEDが点滅するのを見て取れるだろう。3~24の表記があるが、これはコンプレッションされた量が3dBなら3まで、コンプレッションを強くして12dBがコンプレッションされたなら12の位置までLEDが光るという事だ。

Bypassはその名の通り、本機をバイパスするスイッチである。ON/OFFし、原音との変化を確かめながらコンプの設定をすると良い。

最後になったが、Thickというこの見慣れないスイッチは、本機のリリースのキャラクターに味付けし、より太いサウンドを得られるキラースイッチだという!どんな効果を生むのか、僕もとても楽しみだ。

ちなみにこのBypassとThickの2つを両方押す事によって"スペシャルモード"にエンター出来る。2つのボタンを同時に押すとLEDが点滅するので、スペシャルモードにアクセスしている事が確認できる。

スペシャルモードのまず一つ目が、サイドチェインフィルターの調整である。これは例えば、キックやベースなどの低域にコンプが反応してしまいサウンドが不自然になってしまう時、低域にはコンプがかからないようにする機能である。
この時、GAINリダクションメーターは、「これより下の低域にはコンプがかからない」という周波数の表示に切り替わる。スペシャルモードではThickスイッチがこの周波数を選択する役割になっており、これを押すごとにGAINリダクションメーターのLEDが左右に動く。LEDが指し示す数値が小さければ超低域だけにコンプが反応しないようになり、数値が大きくなると中低域付近までコンプがかからないようになる。


感想
このコンプを、録音したドラムに使ってみた。
まずドラムから離れた場所に立てた無指向性のルームマイクのトラックにインサートしてみる。迫力が簡単に出た。DRIVEツマミを上げていくと、部屋の響きや余韻が前に出てくる。同時に勢いが加わり、簡単に“Rockな音“になる。部屋に立てたマイク1本だけでこれだけの存在感が出るのは素晴らしい。ドラムを録音したbazooka-studioのブースの木の暖かい響きが前に出て来た。
次に各パーツをバラバラに録音したドラムをモノラルにまとめた上で、ドラム全体にかけてみた。これも素晴らしい。しかし調子にのってDRIVEツマミを上げると、キックの音圧でコンプレッションが不自然になってしまったので“サイドチェインフィルター”を調整すると見事にキックによる不自然さが無くなった。

Thickのボタンを押すと、粘り感が出てこれも良い。しかし押さない状態が悪いというワケではない。これは楽曲の違いや、キャラクラーに差をつけたい時など、どちらもうまく使っていきたい。

この機種はどちらかというと、ギターロックなどのバンド系に適していると思う。パンク~ハードコアなどにも使いたい。とにかくプラグインでは出せないキャラクターを持っており、音が前に出る。なので、プラグインのコンプに飽きたなーって人は楽しいと思う。もちろんトータルリコールは出来ないので、このコンプをかけた後に別トラックに録音しておこう。また打ち込み系でブレイクビーツに使ったりするのも良い。しかしスーパーナチュラル&ハイファイなピアノバラードには向いていない。

欲を言えば、ギターやベースを直接入力でき、かつギター/ベースアンプに直接つなげられるジャックなどもあったら良いと思う。ステージでもぜひつかいたい。

ロック系全般でプラグインに飽きた人、買ってよし。
ナチュラル志向の人、次回記事を待つべし!

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分