audioleaf WEB MAGAZINE

大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.10 -GRACE DESIGN M101-

2009年12月25日11時12分 in レビュー

先月に引き続き、宅録の小さな贅沢シリーズ。

今月は、GRACE DESIGN M101 (ぐれーすでざいん  えむいちまるいち)。
マイクプリアンプといって、マイクを使って音を録音するときに使う機材である。機材といっても主な操作は、マイクの音を大きくするか小さくするかの調整をするだけの機材である。 実はマイクプリアンプというものは、マイク入力が可能な小型ミキサーやオーディオインターフェースなどには必ず内蔵されている。しかしあえて単体の高品質な製品を使うのには、出来るだけ高品質で音声を入力し録音するという意味がある。マイクが拾った音声信号の質が悪ければ後々までその質感は残ってしまうし、Mixで行う音色補正も増える。録音したチャンネルが多くなるほどにその影響は大きくなっていくし、逆に編成の少ない楽曲ではクセそのものがよく判ってしまうなど、作品に与える影響はバカに出来ない。Mixの最終局面で後悔しないように1トラック1トラックを大事に録音したい。そんな時に登場するのが今回チェックする"単体マイクプリアンプ"だ。

それではGRACE DESIGN M101の操作系を見てみよう。



HIZ
HI-Z(ハイインピーダンス)インプット。
エレキギターやベースなどを直接入力できるインプット。ここにシールドを挿すと、自動的に背面のマイクインプットはoffになる。

48V
コンデンサーマイクを使う時に48Vのファンタム電源をONにするスイッチ。リボンマイクの時には絶対にONにしてはならない。

GAIN
入力したマイク、ギターなどのゲインを5dBステップで調整するツマミ。

(中央のLED)
アウトプットの音量を監視するLED。緑色に光ればちょうど良い音量、赤に光るともうすぐ歪む・割れる事を知らせてくれる。

TRIM
GAINで調整した入力レベルをさらに微調整する、無段階のツマミ。

ribbon
リボンマイクや、ダイナミックマイクにもマッチするというモードを有効にするスイッチ。本機の入力インピーダンスを変化させる。

HPF
ハイパスフィルター。75Hz以下の低域をカットする。マイクが拾う不要な振動やマイクの吹かれを防止するのに使う。

背面
UNBAL OUT
アンバランス(普通のギターシールドなど)ダイプの出力。

BAL OUT
TRSタイプのフォーンコネクターシールドを使ってバランス伝送が出来る出力。

BAL OUT
キャノンシールドを使ってバランス伝送が出来る出力。

MIC IN
キャノンタイプのマイクシールドを入力するインプット。



次に気になる音色と操作性をチェックしよう。

まずは実際のレコーディングで歌を録ってみた。おなじみbazooka-studio b5.1でGMLという、これもまたおなじみの高級マイクプリアンプと対決させたのだが、同じ高級感でもGMLは硬質、GRACE DESIGN M101は粘りもありつつハイファイで芯もあるといった印象でgood。結局その音色が採用された。

次にベース。Fenderのジャズベースを直でDI(ダイレクト・ボックス)につなぎ、それをGRACE DESIGN M101のマイクインプットへ。やはりハイファイだがベースの超低域のラインが耳当たり軟らかく心地よく伸びるといった印象で、僕の独断で即採用。安っぽいドンシャリ感などはもちろん全く無く、楽器のランクが1つ上がったような印象さえあった。



次にギター。JC-120をマイキングし、リボンモードを試す。リボンマイクはCROWLEY AND TRIPP naked Eye。部屋の響きも録る為に30cmくらい離して立てる。
そこでリボンモードを押すと、音のスピード感が早くなった。リボンの暖かみを残したままより輪郭が鮮明になる。
リボンの"暖かみのある音"がより良い形で出る感じ。リボンマイクの性能が存分に発揮されているという事か。


このリボンモードは入力インピーダンスを変化させるので普通のダイナミックマイクにも影響を及ぼす。それも聞くところによると良い影響らしい。ちなみに入力インピーダンスは通常が8.1kΩ、リボンモードが20kΩとなっている。
これを421と57で試す。
リボン同様に輪郭がハッキリした!タイトな方向が好きな人には良いだろう。もしくは楽器やアンプのキャラ、楽曲の方向性、フレーズとの相性で選んでも良い。


現代の宅録において、生ドラムなどは別として録音するトラックは1トラックのみというパターンが多い。例えばベースはラインで録る。ギターはラインかマイク1本で録る。ヴォーカルも1本。それなら1chの高品質なマイクプリアンプがあれば十分という考えで作られたのがこの機種。良い音で録音できればMixでの処理もぐっと減ることになり、エフェクト臭くなることもない。

この機種はどの音色に使っても間違いは起こらないだろうが、強いて言うならば歌を出来る限り美しく録りたいとか、シンプルな楽曲構成で生の音色を大切にしたいといった用途に最高だろう。

生の音色に魅せられた大人な人たち、自分へのご褒美に買ってあげてよし!

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分