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大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.11 -Digidesign Eleven Rack-

2010年1月10日15時26分 in レビュー

こんにちは。宅録してますか?寒い冬は家にこもって心ゆくまで宅録を堪能できる季節!

ギターアンプ・シミュレーター試聴も、もう3機種目となった。試せば試すほどに、各社とも使い勝手の良さ、音色の傾向や目指そうとする方向など、様々な工夫を凝らしている事をしみじみと感じる。そして歪んだギターの音というのはいかに現代の音楽にとって欠かせないものかという事も、改めて感じる。

digidesign (でじでざいん) 社の"Eleven (いれぶん) "というギターアンプシミュレーターソフトは、パワーアンプの"サグ"と呼ばれる現象やスピーカーの共振などもシミュレートしたというこだわり様だ。今回チェックした"Eleven Rack(いれぶん らっく) "はソフト版の音質はそのままに、単体でも使えるように様々な入出力を備えた2Uサイズのラックになっている。加えて、Pro Tools LEとM Boxを使っている人は本機をそのままオーディオインターフェースとして使えるようになっている為、マイク入力までもが装備されている。残念ながらLEを使用できる環境が無かった為にインターフェースとしての機能は試せなかったが、基本的な音質や本体だけでの操作感などをチェックしてみた。

テストでは今回もおなじみbazooka sutudio "5.1" を使用した。

本体だけでほとんどの操作が完結でき、ライブでも宅録でも使える仕様になっている。
もちろん取説を読まずに使ってみよう。中央右側の"DIST"とか"MOD"と書かれたスイッチは、ここに省略されて書かれているエフェクターのON/OFFだな。FX1とFX2のボタンは線で繋がれていて真ん中にWAHと書いてある…という事は2つ同時に押してワウのON/OFFだ。と、こういう風にある程度のヒントはパネルに書かれている事も多いので、機械の細かい字が苦手だという人も怖がらずにフロントパネルをよく見てみよう。


本体ディスプレイの右にあるSCROLLのホイールをとにかく回してみると画面が変わり、音も変わった。このツマミでプリセットを選ぶ。ツマミがついているからにはガンガンさわって体感した方が早い。プリセットというのは、digidesignの人が親切に100コくらい、色んなパターンを想定して予め音を作っておいてくれたということ。とにかく音を聴いて、その中で自分のイメージに近いプリセットを選び、さらに自分好みに微調整していくのが近道だと思う。ちなみに俺はプリセットが嫌いで最初の2コくらい聴いたところで飽きたので1から音を作り始める事にしたが、83コ目くらいに自分の想像を遥かに超えた音があるかも知れないので、高い金を出して買った人はぜひ全プリセットを聴いてみて欲しい。


本体ディスプレイ左上のEDIT/BACKボタンを押すと画面が切り替わり、Rigビュー画面 - すなわち各パラメーターを細かく調整するモードになる。この状態でSCROLLツマミを回すと、音声信号の流れに沿ってエフェクター、アンプ、キャビネットなど、各ステージを表すアイコンにアクセスできる。目指すアイコンにたどりついたらディスプレイ右側のSW1の横にCONTROLSと表示されるのでSW1を押すと、各パラメーターにアクセス出来るようになり、ディスプレイ下に並ぶツマミで音色を加工する事が可能になる。このツマミの感触は適度な重さで扱いやすいと思った。
ここからはpro toolsのウインドウ上で操作する為のソフトをインストールし、その操作・表示も見ながらエディットモードを信号の流れに沿って見てゆく事にする。


TRUE-Z : インピーダンス可変ツマミ。
1MΩ、1MΩ +Cap、230kΩ、230kΩ + Cap、90kΩ、90kΩ + Cap、70kΩ、70kΩ + Cap、32kΩ、32kΩ + Cap、22kΩ、22kΩ + Cap、AUTO 
と、13通りもの入力インピーダンスを選べる。AUTOにすると、内部で最初に音が入力されるエフェクターもしくはアンプの種類によって入力インピーダンスが決まるという。このTURE-Zの操作は、前面パネルのインプットを使用する時に有効になる。音を出しながらツマミを動かしていくと確かに音が変わる!ピントの微調整といったニュアンスか。インピーダンスのマッチングが上手くいっていないなという時は、太く聴こえてもボヤケて感じたりクリアに聴こえても細く感じたりする。自分のギターに一番マッチしたポイントを見つけるもよし、こだわらなければAUTOにしておいても何ら問題は無い。1kHzのテスト信号を通して色々とチェックすると、確かに音量レベルも±0.3dBくらいで変化する。また20kHzという超高音でレベルを見るとさらに顕著に変化が現れる。しかし入力インピーダンスとは、出力する側のインピーダンスに関係するので、どこが最高かというのは決まっていない。各自ベストの設定を見つけたい。

VOL - ボリューム(ぺダル)
エクスプレッションペダル使用時でないと実用性は無いと思われるが、マウスで右上のアイコンや画面上のペダルの絵を直接ドラッグしても音量が変わる。

WAH - ワウ

これもエクスプレッションペダル使用時が良いと思うが、マウスでアイコンやペダルの絵を直接ドラッグしてもワウがかかる。BLACK WAHとSHINE WAHの2種類から選べるが、どちらのキャラクターも捨てがたい!見た目的にはBLACKがCRY BABYでSHINEがVOXという感じかな。

DIST - 歪み
BLACK Op Distortion : RATのシミュレーションかと。"op"はオペアンプの略だろう。フィルター具合いは似ている。

GREEN JRC OVERDRIVE:チューブスクリーマーのシミュレーション。似ている。
Tri Knob Fuzz:銀パネルのビッグ・マフ

MOD - モジュレーション
C1 : Boss CE1ですな。
FLANGER : どの機種のシミュレションか判らないが、ワザとらしく聴こえるなー。でもテクノっぽくはなる。
orange phaser : MXRのシミュレーション。似てる。
Roto Speaker : ロータリースピーカー。このペダル上でさらにスピーカーの種類を選べるので幅が広く使い道も多い。
Vide Phaser : 足踏み式のPhaser。画面右上のペダルアイコンをドラッグすれば、リアルタイムに操作も可。

FX1 - 各種エフェクト
前記"MOD"カテゴリーと重複しているものもあるが、それらは省く。
Graphic EQ : 100、370、800、2k、3.5kの5バンドで手軽に音作りが出来る。370~2kまでは±18dB。100と3.25kは±12dBという変わった仕様。

GRAY COMPLESSOR : MXRのコンプ?とにかく使いづらい。

DELAY - ディレイ
BBD Delay : その見た目からしてエレハモ系か。コーラス/ビブラートがかけられるのが良い。
TAPE ECHO : テープエコー。テープのウネリとか調節可能。これのMixツマミを最大にすれば元音は出ないので、裏ワザでテープシミュレーターとしても使えると思う。つまりギター以外の音でもローファイ感を出したい時に通すと面白い。
しかしディレイタイムのぶんだけ波形は前に出しておくのを忘れずに。

Reverb - リバーブ
Eleven SR : 色々なタイプが入っているが、クリーンでキメ細かく、Pro Toolsのプラグインリバーブである"Reverb ONE"がモデルになっているらしい。
Black Panel : Splimg Reverb: 真空管スプリングリバーブのシミュレーション。暖かい音でとても良く似ているが、もっとリバーブの数値を突っ込んで設定できるモードがあればなお良かったと思う。

FX LOOP
リアパネルのLoopコネクターにつないだ外部機器を使う為の空きパッチ。
オンオフと レベル調整ツマミがついていて便利に使えそうな印象。

AMP/CAB

'59 Tweed Lux : 50'sフェンダー。 ブッとい。
'59 Tweed Bass : ベースマン。
'64 Lux Viblato : これもフェンダー系。
'64 Lux Normal : 同じくフェンダー系。VibloLux?
'66 ACHi BOOST : VOX系。
'67 Black Panel Duo : "Duo"というのは"Twin"をもじったものだと思われ、たぶんツインリバーブ。ヌケがよく艶もあってgood!
'69 PLEXIGLS : マーシャルらしさがあります。

LEAD 800 : マンマJCM800。けっこう良い線。次号、実機と対決させます!
M-2 LEAD : MESA Boogie (Mark Ⅱ?) のシミュレート。似てる。後ろにグライコを接続すれば疑似Mark Ⅳ的に使えるか?ちなみにMesa Boogie Mark Ⅳは歪の前と後ろにEQがあるので音が作りやすかったなー。
SL-100"Drive"、"Crunch"、"Clean"。ソルダーノ。ザクザクした感じが似てる。
Treadplate : MESAの現在のタイプ。モコり具合がどうも僕は好きになれない。そこも含めて似てるけど。
DC Modern Overdrive、DC Modern Overdrive : digidesignのオリジナルらしい。けっこう好きかも。

CAB -キャビネットには以下のものがある。
1x12Black Lux : Fendr Delux Reverb
1x12Tweed Lux : fender Tweed Deluxe
2x12ACBLUE : VOX
2x12 Black Duo ; Fender Twin
4x10 Tweed Bass : Bassman
4x12 Classic 30 : '06 Marshall 1960AV
4x12 Green 25W : '68 Marshall 1960A

王道系しかないな…もっと色んな種類を用意してほしかった。

MICTYPE - マイクは王道もあればリボンタイプまで用意されている。
Dynamic 7 : シュアー SM7
Dynamic 57 : シュアー SM57
Dynamic 409 : ゼンハイザーMD409
Dynamic 421:ゼンハイザーMD421
Condenser 87 : ノイマンU87
Condenser 67 : ノイマンU67
Condenser414 : AKG C414
Ribbon 121 : ロイヤー r121
各マイクともにOff Axis-On Axisの2通りを選べる。
Off Axisは割としっかり音が遠くなり、好印象。
U87は今まで試したギターアンプシミュレーターの中で一番、良い印象だった。似ていたかどうかは別として。

今までザックリと内容を見てきたが、基本的なシミュレーターとしての機能を全て備えているだけではなく、入力インピーダンスを変化できたりするなど他社にはない機能を備えて登場したEleven Rack。

次回はお約束、bazooka-studio所有の本物と比べて検証してみたい。
選んだアンプはMarshall JCM 800!言うまでもなくギターアンプの代名詞マーシャルの、80年代製の名機と対決させてみた。その結果やいかに!!乞うご期待。

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分