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大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.16 -BREVERB-

2010年5月26日23時12分 in レビュー

今月はプラグイン・リバーブを一つ試してみた。

BREVERB(ぶりばーぶ)



イタリアのソフト会社が作ったらしいリバーブ。
どうやらLexicon社のリバーブのような、演算で残響を再現する"アルゴリズム・リバーブ"となっている。

リバーブというのは前々回に書いたと思うが、音に響きを加えて空間を演出したり、フレーズの魅力を倍増させたりするエフェクターだ。レコーディングの現場で残響を人工的に作り出した歴史は古い。

とてもよく響く部屋にスピーカーとマイクを設置し、スピーカーから音を出して響いた音をマイクで拾うという"エコー・チェンバー"
スプリングをドライバーで振動させてピックアップで拾う"スプリング・リバーブ"
同様に大きな鉄板を、ドライバーから出力した音声によって振動させ、ピックアップで拾う"プレート・リバーブ"
などアナログ時代にも工夫を凝らして様々なリバーブが作られた。ちなみに筆者は自宅のクローゼットの扉が薄い鉄製でよく響いたため、そこに余り物のギターのピックアップを5mmくらいの距離でセットし、プレートリバーブを作った事がある。SNが最悪でノイズだらけだったので実戦ではもちろん使えなかったが、聴いた事のない重厚な響きで感動した。

その後デジタルリバーブが出現する。大ざっぱに言うと細かいディレイの集合体で残響を表現する。ラック式ハードウエアリバーブはほとんどコレになるだろう。

その後、サンプリングリバーブといって、パルス波を実際のコンサートホールなどで鳴らした残響をサンプリングする事によってよりリアルな残響を得る事が出来るようになる。コレなんかは自分で1サンプルの長さの波形を用意して音を出し、収録すればそれがそのままネタ(IRデータと呼ぶ)になるので色々と遊ぶ事が可能だ。ただ、再生するスピーカーや収録するマイクの性能にも音室が左右される為、ハイ・クオリティなIRデータを作るのは難しいだろう。ただ、ラインを使ってハードウェア・リバーブにパルス波を入力し、出力信号をラインで録音すれば、ある程度のクオリティを保った状態でプラグインでSPX-90のリバーブを再現なんて事も可能だ。これは僕もやった事がある。

さらに現在は物理モデリングリバーブなるものも存在するらしい。これはまだ実用化はされていないが、部屋の空気の状態全てを計算するやりかたらしく、小さな部屋の再現にも地球シミュレータと呼ばれるスーパーコンピューターが何台も必要になるそうだ…。


前置きがヒジョーに長くなって申し訳ないが、今回のBREVERBは、"ハードウェア時代のデジタルリバーブ"のジャンルになる。


実際に仕事で使ってみた。
一言で言うとまさに"デジタルリバーブです"といった感じ。非常に細かいリバーブの霧がスピーカー間に現れる。視覚的に表現するなら宇宙の写真にあるような銀河や星雲といった感じ(笑)。


前々回に紹介したLEXICONのハードウェアリバーブも意識されたサウンドになっているようだが、BREVERB特有の色気や個性があって、プラグインリストの中で存在感をはなつ事になるだろう。
サンプリングリバーブのようなリアルな空間はもとより目指しておらず、リバーブを使った"演出"という用途に最適なプラグインだと思う。

ジャンル的には華やかさや煌びやかさを求める人や楽曲にはバッチリ。
プリセットは高域が多いセッティングになっているので、とても鮮やかにリバーブがかかる。もちろん内臓のEQや高域の減衰を調節すればナチュラルにも使用できる。僕が使った時にも、楽曲にマッチさせる為に高域を少し削って使った。それでも透明感を失わないのは素晴らしいと思った。低域がダンゴになったりする事が無いのでたくさんリバーブを使いたい人にも良いだろう。

このプラグインは、自然な空気感というよりは演出として使いたい。ジャンル的には女性ボーカルやヴィジュアル系、テクノ、トランス系など華やかな音が欲しい人は買ってよし。ドロ臭いロックやブルースの人は買わなくてよし!

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分