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大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.19 -SPL Mix DreamXP- その2

2010年8月06日15時09分 in レビュー

こんにちは。
前回に続き、MixDreamXPの第2回目。



ミックスバッファーという機材の存在は前回説明したとおり、デジタルの飽和感などを軽減するところに意味がある。今回は実際に使用しての使用感などをレポートする。

使用するにあたり2つだけ、機能についての説明をしたい。
まず各チャンネルごとに装備されているボタンは、Monoボタンである。例えばインプット1と2に音声を入力すると、1に入れた音が左ch、2に入れた音が右chというようにステレオで出力される。しかし例えばキックやベース、ヴォーカルなど、中央に定位させると自分の中で決まっている音をステレオ出力するのはチャンネル無駄が生じる。ならばキックとベースの2つをDAW上でセンターに定位させてステレオで出力させればチャンネル数的には足りるじゃないかと思うかもしれないが、この場合はDAWの中でそれぞれの音がMixされる事となる。ミックスバッファーを使うからには出来るだけアナログ領域でMixしたいので、このボタンの登場となる。これを押すと、ペアとなったチャンネルがアナログ領域でセンター定位になる。こうすることでKickは1ch、Bassは2chというようにパラレル出力する事が可能となる。

次に、全面パネル中央に鎮座するツマミ。これはもう見た通りボリュームである。スイッチでONとOFFが切り替えられる。OFFにしておけば無駄な回線は通らず、限りなくピュアな音声信号となる。また、MixDreamXPで作業していて、ステレオアウトをDAWなどに戻したときにレベルがオーバーしてしまう時にこのボリュームをONにする事でレベルオーバーを回避出来る。

今回は5つのステレオと2つのモノというパラアウトを作る。内訳は以下の通り。

ドラム Stereo
バッキングとリードギター Stereo
キーボード Stereo
コーラス Stereo
リバーブ類 Stereo
ベース Mono
ヴォーカル Mono

これらは、インターフェイスのアウトプットだけ変更した以外はプロツールス内部でMixした時と全く同じ設定。それぞれのアウトプットをMixDreamXPに入力、MixDreamXPのステレオアウトをインターフェイスに入力し、再度プロツールスに録るという流れを作る。

この状態のものと内部でMixしたもの(以下、内部Mix)を比較試聴してみた。
正直、パッと聴き違いがよく判らない。それくらいMixDreamXPは音色の変化が無いし、SNも非常に優秀である。音量を上げてよく聴き込んでみると何かが違う。超低域と超高域のレスポンスと奥行き/広がりが若干ちがうかも?内部Mixはどこか張り付いたような音でハデさがある。しかし少しだけ耳障りなザラつきがある。MixDreamXPでは奥行きと広がりが再現されるが、荒々しさのような物は抑えめになる。キメが細かいような印象も受けた。

今回はさらに比較機種として、以前も登場したAMEK Angelaという卓をミックスバッファー代わりに使用してみた。こちらは当然フェーダーが付いているため、各アウトプットから出力してAMEKを通ってプロツールすに戻した時に同じレベルになるようにフェーダーをセットする。
これは中低域がHotになった感じ。

やっていて思ったのは、インターフェイスの音質にも左右されるだろうという事だ。
実験で使ったdigidesign 192i/o は、世界標準のインターフェイスといっても過言でない機種なので音色の変化が少なかったのかも知れない。悪質なインターフェイスは、インプット/アウトプットの部分だけで音が変わってしまうことがあり得るので注意が必要だ。具体的に実験または実感したいなら、あるアウトプットから音を出し、それをそのままケーブルでインプットに入力して録音してみると良い。それぞれのファイルを聴き比べればインターフェイスでの音質の劣化があるのかないのか一発で判るだろう。この時点で音質の変化が多いようだと、内部Mixとの厳密な音質差というのは比較出来ないかもしれない。しかしMixを始める前の段階からミックスバッファーを接続し、インターフェイスの音色も込みで作業をスタートすれば、内部Mixで起こりうる飽和感などを回避するといた恩恵だけは受ける事が出来るだろう。

ミックスバッファーのその他の利点としては、マスターにアナログのアウトボードを使えるといった所だろうか。MixDreamXPのマスターアウトにアナログのコンプなどをつなぎ、コンプのアウトをインターフェイスに入力すれば良い。もちろんコンプの設定はメモっておかないと再度Mixする時に再現はされないので注意したい(昔はこれも当たり前で、ツマミの位置を書き込む専用の紙もあった)。

以上、2回に渡りミックスバッファーという地味な機材を試してみた結果である。
この機種は、アナログ領域で混ぜる事による"ストレスの無さ"を得る為にある。これを使えばMixがメチャクチャ簡単になるとか、スッキリした音になるとかアナログ感が得られるといた類いのものではない。ただほんの僅かだが空間が広がりデジタルのギスギスしたニュアンスが減るという部分に喜びを見いだせる人が買うべきだろう。

とりあえずMixが上手くなりたい人、買わなくてよし。
出来る事は全部やった、音を良くする為にワラにもすがりてぇと思う人は買ってもよいが、これを使ったからといって事態が改善されるかどうかは責任は取れないぜ。

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名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分