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大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.20 -Violet DESIGN "THE JUNIOR"-

2010年8月24日02時43分 in レビュー

こんにちは。今回はマイクを1本、試してみた。



Violet DESIGN (ばいおれっと でざいん)というメーカーの"THE JUNIOR (ざ じゅにあ)"。
ボトル形状のデザインをしたコンデンサーマイクである。

コンデンサーマイクって何?という人の為に少し説明しよう。
マイクには色々な原理に基づいた様々な種類のものがある。プロの現場で良く使うのは、ダイナミックマイク・コンデンサーマイク・リボンマイクの3種である。

ダイナミックマイク
皆さんがリハスタに行けば置いてあるSHURE(しゅあー)のSM58(通称ごっぱー)が代表格であろう。なんといっても丈夫。床に落としてもほぼ壊れない(試してみて壊しても責任はとりませんが)。

コンデンサーマイク
歌手のレコーディング風景などで、ゴツいフレームに吊り下げられたりしてるのを見た事があるかもしれない。作りが繊細なので床に落としたらきっと壊れる。

リボンマイク
大昔の録音風景の白黒写真などでたまに目にするかも知れない。薄い金属のリボンで音を拾う構造で、強く息を吹きつけただけでもそのリボンが切れる=壊れる…移動時には風除けの箱に入れないといけないほど(最近は丈夫なのも出てきているみたいだが)。

というように色々な種類があるわけだが、レコーディングでは1つの楽曲の中に様々な種類の声や楽器のサウンドがあるので、それぞれを狙ったサウンドにする為にマイクを使い分ける事になる。マイクの特性を上手く使い分ける事でそれぞれの音が持つ特徴を引き出したり、また空間の前後関係を作って個々の音を効率的に配置したりする。

Violet DESIGN という聞き慣れないこのメーカーは元々、ラトビアという東ヨーロッパの国でヴィンテージマイクの修理を行っていた会社。ラトビアは旧ソ連時代から音響の研究が非常に進んだ国であり、軍事における音響部門を請け負っていた国だという話も聞いた事がある。このマイクはそんなメーカーが設計から全てのパーツの生産までを自社工場で行い作られたという。世界中から様々なパーツを寄せ集めて製造すれば安価に仕上げるほうが効率は良いのかも知れないが、ほとんどは汎用パーツの組み合わせになってしまう。1から自社製品の為にパーツから製造するのはなんとも頼もしい。



製品は上品な木箱に納められている。
また、コンパクトなショックマウントが付属している。ショックマウントとは、マイクスタンドから伝わる床の振動をマイクが拾うのを防止するサスペンションである。上記”コンデンサーマイク”の項でいう”ゴツいフレーム”というのもこのショックマウント。



コンデンサーマイクというのはその構造上、音をワイドレンジに拾う事が出来るマイクである。プロの現場でも、歌やアコースティックの楽器を録る時などは必ず試す。筆者の場合は、歌には99.99%の可能性で使用する。他にもアコギ、シンバル類、クラシックの楽器類、また空間の響きを拾いたい場合などにはほぼ使用する。もちろんダイナミックマイクもリボンマイクも使うことはあるが、特殊な場合を除いてはコンデンサーマイクだ。サウンドがもつ超広域の倍音を不足なく拾うにはコンデンサーマイクは必須アイテムだ。レコーディングの現場ではさらにサウンドの傾向、楽曲の方向性、求められる雰囲気などによってマイクのキャラクターを使い分ける。

Violet DESIGN"THE JUNIOR "のサウンドの特徴は、ヴィンテージのトーンを基本に現代的な低域と高域を備えたものになっていると謳われている。次回は実際に色々な楽器の音で、このマイクのサウンドを体感してみたいと思う。

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分