audioleaf WEB MAGAZINE

No.16・みっくちゅ・その3

2011年1月16日19時39分 in コラム

さて、ご無沙汰の"風の唄"ミックスの続き(もう足かけ3年やってんのか/爆)。
4本のShure SM58のみで録られたドラム、まずはAPHEXのBIG BOTTOMでローを出したキック、DUYのDaD Valveでガシガシにパワー感を増したスネア。左右2本のマイキングはスネアがしっかりとセンターで鳴るよう調整し、タム回しの際はオートメーションでレベルと音質をフォロー、更に"2度録り"で得たステレオ・アンビエント・マイクを加えて立体感を演出.....こうしてまとめ上がったドラム・キットに、今回はアレンジ上でちょっとしたアクセントを加えよう。
もちろん、SM58でね!。



16ビートの細かさのが主体のAメロと、対照的に大らかなサビ、という構成のこの曲のリズムに、シェイカーとタンバリンを足してみよう。パターンとしてはシェイカーがサビの16分を補うパーカッションで、タンバリンがアタックの華やかさを強調するためのエフェクト、という役割。
まずはシェイカー。使用したのは楽器店以外でも手に入るような、卵型の可愛いヤツ。コイツをSM58に近づけ、音量の強弱はマイクからどれだけ外して振るか、で調整しながら録音。今回はサビとソロのバッキングで同じ「シャッカシャッカシャッカシャッカ」という16分パターンを採用。


シェイカーは楽器そのものの音量もさほど大きくなく、手の振り具合で強弱がストレートに伝わって来るので、かなりオン・マイクで録る

続いてはタンバリン。が、決してシェイカーと同じタイミング/アクセントではなく、こちらはサビで8分、2コーラス目のAメロで2拍/4拍のスネアに合わせ、ソロ後でフリーで振ったり、と臨機応変。決してシェイカーと役目がダブらないようにするのがポイントだ。


もちろんタンバリンにも色々な種類があるが、今回は曲調に合わせて比較的軽めのサウンドのものをチョイス。で、こちらはシェイカーよりもマイクから離し、鈴部分の反響も含めて"部屋鳴り"を録るようにするのがコツ

同じ曲の中にふたつのパーカッションを加える、というのがピンと来ない人もいるかも知れないが、例えばこれと同じことを打ち込みで、それもバリバリにクォンタイズして演ると区別もつかなくなってしまう。ところが、あくまでもドラマーのグルーヴに対して何かしらの"意味”.....例えば「ちょっと後ノリで」とか「走り気味に」とかを持たせて足してやると、リズムが、曲全体が"躍り出す"んだ。なので、オレは自分絡みの仕事の際は絶対にパーカッションをドラマーにはやらせない。何故ならビートの完成形/目的が同じだと、それこそ打ち込みのようにただ音色が増えただけになってしまうから。大抵はギタリストかヴォーカリスト、またはオレのような第三者にやらせる。ちょっとくらい上手じゃなくても、目的が目的だけに効果が優先。で、最終的にはもちろん波形編集でオイシイところに落とし込む(笑)。


録り終わったタンバリン(上)とシェイカー(下)のトラック.....そ、最終的には良い感じにリズム・エディットは必要。今回は特にシェイカーは、上手く波打ってる1小節をピックアップしてループ。タンバリンはなるべく現状キープに近い編集に留めた

編集が済んだらどちらにもドラム・キットと同じサイズのリバーヴを乗せ、パンニングはドラムの左右に(今回はタンバリン左/シェイカー右)。
.....実はこの手の楽器は、多くの場合全体からの音の"抜け"がもの足らなくて、ハイEQしてしまいがちになる。ところがハイを持ち上げれば持ち上げるほど元の音色からはほど遠くなり、しかも音色が似て来てしまうので、過剰なEQに注意。可能な限りナチュラルなサウンドが最終的にベスト・マッチする筈。


上からキック、スネア、左(フロアタム/ライド)、右(タム/ハイハット)、後録りのステレオ・アンビ、1トラック飛んで(リバース・シンバル)、タンバリン、1番下がシェイカー


ミックス画面。ドラム・キットのトラックにアレコレとプラグ・インが刺さってるのに対し、タンバリンとシェイカーはノーEQ。タンバリンのトラックにゲートが刺さってるのは、じっとしている時に「チャリチャリ.....」とか鳴ってしまっているのをカットするため

さて、こうしてパーカッションも出揃ったところで、特にサビの展開がとても柔らかく、リズミカルになった。なので、欲張ることにしたオレはスネアのコンプとドラム全体のトータル・コンプを更に深めることにしたのであった!。


御馴染み"Rコンプ"ことRenaissance Compressor。左がスネア、右がドラム・キット・トータル。今回はトータル側のアタックを短く(4.20)設定し、全体的なパワー感を増した。このくらい金物の聴こえが派手になっても、パーカッションのおかげで失うものが減ったのである

.....というワケで、前回とはガラリと印象が変わった"風の唄"のリズム・トラック。あらためてベースを加えて聴いてみよっか。ん?、いつになったら全体が聴けるのかって?。さあ.....(爆)。


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最終更新時間:
2011年10月04日21時52分