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大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.31 -LINE6 POD X3 PRO- その1

2011年4月05日13時27分 in レビュー

 こんにちは。
 今月はLINE6というメーカーのPOD X3 PRO(ぽっど えっくすすりー ぷろ)を試してみた。本コーナーでもたびたび取り上げて来たギターアンプシミュレータである。



 ギタリストの皆さんならもしかしたらご存知かも知れないが、アンプシミュレータに一大ブームを起こしたと言っても過言ではないのが同社の"POD (ぽっど)"シリーズである。1997年に発売された初代PODは赤くて小さいボディと簡単操作、そして一歩先を行った音色のリアルさが衝撃だった。POD X3 PROはその最新版となるフラッグシップモデルである。

 レコーディングの現場でもアーティストが“家で作ったサウンドをそのまま録りたい”という理由でたまに見かけるPODだが、シミュレーターが必要な場面では同社が発売するプラグイン版アンプシミュレータ“Amp Farm(アンプファーム)”をプロツールス上で使えば事足りたので、ハードウェア版のPODを僕は今まで恥ずかしながら本格的に触った事は無かった。いわばPOD初心者だが、今回ももちろん、最初は取扱説明書は封印して使ってみる事にする。

bazooka-studio B1にて、まずは自分でギターを弾いてみる。
フロントパネル左側の赤い部分にギターをインプットして音を出してみる。



 聴いた事のあるPODの音といった感じである。まずチューニングをしようとしてみる。ギターのレコーディングでは何よりも大事だったりする。…TUNER …わからない…画面上にはチューナーらしき表示は無い。パネルをよく見るんだ…あった、点滅している"TAP"ボタンの上に"HOLD FOR TUNER"と書いてあった。  
 TAPボタンの点滅のインパクトと、フロントパネル凹凸の陰になっていることにより、完全に見落としていた。たぶん長押ししたらいいんだな。長押しすると思った通りTUNER画面に。あとは普通のチューナーみたいに何も考えずにチューニングできた。



 とりあえず遊び感覚なのでYOUTUBEで好きな楽曲を探し、爆音で鳴らしながら弾いてみる事にする。
レイテンシーは皆無に聴こえる。
 宅録していてレイテンシーを感じたとしたらインターフェースのレイテンシーを疑うべきである。
 またマスターボリュームがヘッドフォンのボリュームも兼ねているが、ヘッドフォン専用ボリュームが無いのは残念。またPODには外部エフェクターなどをつないて使用する事も考えられるので1発ミュートボタンは欲しい。もう誰が見ても分かるようにバッチリつけてほしい。

パネル右上に
AMP  STOMP  MOD  DELAY  VERB(リバーブ)
とボタンが並ぶ。



 それぞれがオンオフのボタンになっているが、それぞれを2度押し(ダブルクリック)すると設定画面にアクセス出来る。
まず画面左のダイヤルでタイプを選ぶ。



AMPをダブルクリックした時はアンプの設定画面になるので、このダイヤルはAMPを選ぶのに使う。VERBをダブルクリックした時はリバーブの設定画面になるので、リバーブの種類を選ぶときに使う。

その後、画面下に4つ並ぶツマミで、各設定を調整するのが基本操作方法。



調整部分が多く1つの画面に全てが表示されているワケではない。次のページに進むには



この十字キーを上下に押せばページが切り替わる。



 それでは実際に各シミュレーション部分のサウンドを聴いていきたいと思う。

AMP TYPE
 まずは要となる“AMP”だけを点灯させ、他をOFFにしてアンプの音を集中してチェック。このPODX3 PROは“ギターアンプシミュレータ”なので、正直なところ他の部分なんてどうでもよいとさえ言える、肝心要の部分だ。


 アンプタイプもよく見ずにツマミをどんどん回し、気に入ったAMPを探したのだが最終的に弾きたいと思いストップしたのは、奇しくもなのか必然か、我がbazooka-studioも所有するMarshall JCM800のシミュレーションだった。
 一聴すると粒子が大きめで荒々しく固い音と感じ、リハスタなどで大音量でプレイする時は扱いづらいと感じるケースもあるかと思うが、レコーディングではこれらがギターサウンドを一歩前に出す効果となって曲中で映えるサウンドなのだ。そんなJCM800の個性がとても良く出ていて好感が持てる。ひとしきり弾き疲れるまで弾いたが気持ちよくプレイに没頭する事が出来た。
 プリセットとして当然、となりに位置していたマーシャルJCM2000、900も試すが、シックリ来たのは800と900だった。2000は第一印象からして筆者の知る実機の良い音とはかけ離れていて、残念ながら短時間で実機のようなサウンドに導く事が出来なかった。

 付属の、シミュレートしているアンプのカタログを見てみるとなんと78種のアンプヘッドと24種類のキャビネット(キャビネット無しも加えると25種類)が網羅されている。有名な所ではJCM800、JCM900、JCM2000、ORANGE、VOX、DIEZEL、Bogner、Fender、ENGL、PEAVY、MESA、HIWATT、GIBSON、MATCHLESS、SOLDANO、JC120などが揃っている。

 好印象だったのはENGL、ORANGE、MESA、DIESELなど、有名どころのアンプに関しては非常に似ていると思う。JC-120は実機と比べると若干ライン録音ぽいサウンドだが、本物にある変なピークが無く良い意味で実機より良い部分がある。
実機を聴いた事が無いアンプもたくさんあるが、「このアンプはこういう音の傾向なんだ」という事を知る事が出来、ある意味勉強になった。


キャビネットに立てるマイクのシミュレーションはSM57On/Off MD421 U67と4通りが選べる。
どれも悪くなく、特徴を(若干誇張されている気はするが)よく捉えている。しかしアンプを切り替えるとマイクまで切り替わってしまうのはちと残念…。

そして"ROOM"ツマミで、一言で言うと硬い壁の部屋といった感じの響きが加わる。
キャラとしては面白い。マイク録音した実機と比較したとき、少しずつツマミを上げていくとマイク録りの音に近づいた。100パーセントにすると部屋の遠くにアンプを置いた感じになって面白い。
しかしAMP TYPEを変更すると、“MIC”の時と同じくすでにデフォルトで“ROOM”が何パーセントかに設定されているのが気に食わない。しかもアンプによってかなり異なる数値が設定されているようだ。“ROOM”が持つ部屋鳴りも含めて手軽にチェンジ出来、スピーディに雰囲気ごとチェンジ出来るのは簡単と言えなくも無いが、レコーディングの場面では逆にAMP TYPEを換えるごとにROOMツマミにアクセスし、パーセンテージを変更したくなる。これがとても手間に感じてしまった。AMP TYPEと“連動”“非連動”を切り替えられたら便利だと思った。


STOMPは、歪み系のペダルエフェクターのシミュレーションである。
SCREAM、チュブスクリーマーだと思うが、中域の前に出るクリーミーな歪みは似ている。GAINとDRIVEの2つを備えていて歪みのニュアンスを微調整出来る。

MODはコーラス、フランジャー、フェイザーなどのモジュレーション系、DELAYはそのままディレイである。

VERBはリバーブのシミュレートである。リバーブはたくさんの種類が入っている。、レコーディングではプロツールス内部のものを使う事が多いのだが、アンプについているリバーブはなかなか再現するのは難しいので、かけ録りする事も多い。そういう用途で使うならLUX SPRINGは良い。Fendarのシミュレーションだがスプリングリバーブの、「永遠」をかんじさせるトーンが得られる。Fender以外のアンプに使ってもgoodであった。

これらのエフェクター類は“CONFIG”をPREにするとアンプの前、POSTにするとアンプの後にエフェクトを設置出来る。

次回は、もうお決まりのパターンになりつつあるが、実物のJCM800と対決させてみたいと思う。

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分