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大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.35 -RM 58 LIMITER- その1

2011年6月19日23時55分 in レビュー

今回はレコーディングの現場に無くてはならないコンプ(リミッター)を試してみた。

RM 58 LIMITER(あーるえむ ごーはち りみったー)



RMとはボディにも書いてある通り、ROGER MAYERの略である。
ROGER MAYER (ろぢゃー・めいやー)とは、人物の名前である。英国海軍の水中音響エンジニアだったという。ジミー・ペイジ、ジェフ・ベックらの為にギターエフェクターを作り始め、その後ジミ・ヘンドリクスの為に作ったファズは有名だ。1970年代にスタジオアウトボードとして作られたのがRM58LIMITERであり、写真によるとラック型2チャンネル仕様のようだが、今回試したのはモノラル・コンパクト版のデザインとなってリメイクされている。

コンパクト型のデザインには珍しくVUメーターを積んでいて、ATTACK(あたっく ) , RELEASE(りりーす) , THRESHOLD(すれっしょるど) , OUTPUT(あうとぷっと)という4つのツマミが付いている。
コンプレッションする割合を決めるRATIOは固定のようだ。
アタックとリリース6段階の切り替え式である。

ON/OFFは足踏み型のスイッチで、VUメーターの右ワキにある赤いランプでON/OFFの状態を確認できる。

INとOUTは-10dBと+4dBの2通りが用意されているため、民生用機器と業務用機器の両方に対応している。



まずはVocalに試してみた

bazooka b5.1スタジオで、とあるメタルバンドのヴォーカルレコーディングがあったので使ってみた。進行中のプロジェクトだったため、すでに歌録りのセッティングは決まっている。
マイクはNEUMANN U67(のいまん ゆーろくなな)→マイクプリにFOCUSLITE ISA215(ふぉーかすらいと あいえすえー にーいちご)→コンプはUREI1176(うーれい いちいちななろく)というセッティングだ。

UREI 1176の後に直列に接続し、ON/OFFを切り替えながら音の変化を聴いてみる。まずスレッショルドを最小にすると音が出なくなった。これはスレッショルドとい表示のツマミではあるが、インプットボリュームである事を示していると思う。そこでアウトプットを最大にし、バイパスと切り替えながらスレッショルドを少しずつあげていき、音量の差が無い設定にする。その時点ではコンプはかかっておらず、もちろん音の変化も無い。が、よく耳をこらして聴くと、ほんのわずかだが音が元気になっている気がする。この変化は微妙だが、明らかに良い。少しずつスレッショルドを上げていくと、どんどんVUメーターが左に振れてコンプがかかっていく事を示す。そのまま上げ続けるとリミッティングが強くなり音のエンベロープがタイトになる。同時に、録られている波形がどんどん平らになっていく。調子に乗ってスレッショルドを上げていくと、どんどんカッコいい音になってゆく!(筆者主観)…しかしさすがに楽曲から浮いてしまうので、スレッショルドをもとに戻してゆく。VUメーターを確認するとピーク時に-2~3dBくらいのコンプレッションに収まった。実はそれまではUREI 1176で割とタイトめなコンプレッションをして録っていたのだが、今回はRM58 LIMITERを直列ではさむのでUREI 1176を軽めなコンプレッションの設定にして、ピークをRM58LIMITERで揃えるという感覚で使う。パリッと前に出るテイストを加える事ができた。

また、録音済みの歌のファイルにかけてスレッショルドを上げてゆくとザラッとした倍音が増す。うっすらかければパリッとタイトな印象だが、アタック速め、リリースを最も遅くしてスレッショルドをグイッと上げると粘りつくようなコンプサウンドが得られる。これもなかなかプラグインやUREI1176では得られない良さを持っている。
プラグインによるシミュレーションでは得る事の出来ないコンプ感はやはり貴重だと思う。

このコンプはこのデジタルのご時世において、なお貴重となってきている“アナログ機器にしかない味わい”的なものを感じる。

次回はバンドサウンドを担う他の様々な楽器に試してみたいと思う。

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分