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大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.41 -NEVE 8816-

2011年12月05日19時57分 in レビュー

今回はこんな機材を試してみた。



NEVE 8816(にーぶ はちはちいちろく)


レコーディング業界では神的存在の、ルパート・ニーヴ氏という機材設計者が開発する音響機材ブランド、NEVE。伝説のチャンネルストリップの1073や、マスタリングにも使われるコンプ33609など、氏が開発した機材でレコーディング業界での不動の地位を得ている物は枚挙にいとまがない。

そして"8816"は、NEVE社の80シリーズコンソールと同じ回路が使われたいわゆるミックスバッファーというジャンルの機材である。そもそも今まで巨大な業務用コンソールを作ってきたメーカーであるが、この8816は昨今のDAW環境においてのNIEVEサウンドを求める声に応じたというところだろうか。

ミックスバッファーとは以前もこのコーナーで試したことがあるが、デジタルオーディオファイルを出来るだけパラレルで出力しアナログ領域で混ぜる事でビットを稼ぎ、ソフトの中だけで完結させる事によって起こる飽和感などの弊害を軽減してMixを向上させようという事に特化した機材である。
内容はアナログミキサーの一種なのだが、DAWでのリコール性を最大限に保つために各チャンネルにフェーダーやゲイン、EQなどは付いていない、というかあえて付けない造りになっている。
8816は16chのインプットが可能で、その上トークバックの機能やモニタリングの機能なども備わっている。またUSBケーブルでコンピューターにつなぐとトータルリコールも可能である。個性的かつ多機能であるが、今回はミックスバッファーとしての使用に的を絞って音を聴いてみる。





早速、内部ミックスで作業していたプロツールスセッションをドラム、ベース、ギター、シンセ、ヴォーカルとパラって出力し、8816にイン。8816のアウトをプロツールスに入力し音を聴いてみる。

音が前に出てシルキーでいて力強い、そんなサウンドだ。
具体的には1~2kHzの中域が前に出て元気になった印象である。
ドラムはタムやスネアの皮モノがハッキリし、ベースの超低域のダブつきは引き締まる。
ギターは尖る事無くピッキングの強さが1段階強くなったように聴こえ、歌は中域の暖かみが増す。
世界が一瞬で極上のNEVEサウンドに染まった。

そもそもミックスバッファーとはDAW内部で生じる弊害を軽減してミックスをよりよくさせるための機材であるので、単純に使用しただけで内部ミックスよりも良くならないと意味が無い。8816は、単純に"良く"はなった。しかし、1つ苦言を呈するならば、内部ミックスで作業していた音を、ただの2chステレオで出力して8816の1-2chに入力し、再度プロツールスに戻すだけでもNEVEの心地よさが溢れてしまっているのである。
これは何を意味するのかと言うと、「パラ出ししてアナログ領域で混ぜる良さ」よりも「NEVEサウンドの良さ」が勝っているという事である。違う言い方をすると、非常にNEVEの個性が強いという事になる。しかしそもそもNEVEの機材というのは良い意味での個性があって世界中で指示されているワケなのであるが、そのNEVEサウンドがいくら良い音だと言っても、例えばNEVEと、同等の他の機材の2台があったとして100%NEVEが選択されるかといったら実際はそうではないのである。よって、通すだけでNEVEサウンドになる本機の使用にはある程度の覚悟は必要だとだけ言っておきたい。

さまざまなNEVE製品を使い、NEVEサウンドを知りつくした上で、自宅でのミックスでもその素晴らしさの恩恵にあずかりたいという人、買うべし!

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分