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大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.43 -NEUMANN KH120A-

2012年2月20日20時56分 in レビュー

今月はモニタースピーカーを試してみた



NEUMANN KH120A (のいまん けーえいち いちにーまる えー)

NEUMANNといえばこのコーナーでも何度も登場している、世界的マイクメーカーだ。当然、レコーディングの現場でNEUMANN製のマイクは必須である。

工業とクラシックの都市ベルリンに、Georg Neumannが1928年に設立し、80年以上マイクやアナログレコードのカッティングマシーンなどを造って来た業務用音響機器メーカーが初めて手がけたモニタースピーカーはいったいどんな音を鳴らすのだろうか?

まずは背面パネルを見てみた。

上から



BASS/LOW MID/TREBLEの"ACOUSTICAL CONTROLS"スイッチ
BASS:0,-2.5,-5,-7.5dB
LOW MID:0,-1.5,-3,-4.5dB
HIGH:+1,0,-1,-2dB



OUTPUT LEVELスイッチ
(1mでのSPLで)
114,108,100,94dB

INPUT GAINツマミ
-15~0dB



パネル下向きに
電源スイッチ
入力はXLRコネクタのみ
DIPスイッチが4つ:左からNeumannロゴのon/off、ロゴのディマー、予備(機能せず)、グランド・リフト、XLR入力コネクタとなっている。


試聴はいつものbazooka5.1にて。
とにかくケーブルをつないで音を出してみる。
縦置きとよこおきを 試してみたところ、b5.1で印象が良かったのは横置き。



第一印象は、「低域が多いスピーカー」であった。

ロック系の音源を聴くと、まずはキックとベースの量に驚かされる。低域の量感はかなりたっぷりしている。高域も一番上まで伸びているのでコモった感じは無いが、低域が空間を支配する力がとにかく強い。最近は超小型でありながら低域がシッカリ出るスピーカーも多いが、本機もそういった感触を感じた。大きく開いたバスレフポートは、中に手を入れて探ってみると曲線を描いたホーン状になっているような感覚がある。なにか特殊な工夫がされているのだろうか。ただボヤけた空気のような低域では無く、キックのエンベロープを見分けることの出来る解像度を持っている。
背面のBASSスイッチを2クリック、LOW MIDスイッチを1クリック下げてみるとバランス的には良くなった。その状態でも密度は失っておらず、やはり低~中低域の見え方に長けている。逆に中域から中高域の帯域は控えめに感じた。ウーファーとツイーターのつながりが若干よくないような印象を受ける。


b5.1スタジオにあった他のモニターと比較してみる

FOSTEX NF-1
低域はKH120Aが圧倒的に多い。中域~中高域はやはりNF-1が前に出てくる。スピード感はNF-1が勝るが、低域の結像はKH120の方が上。

MUSIK ELECTRONIC RL901K
密閉型のRL901Kは超低域まで伸びているが、KH120Aはバスレフらしい共振性のある低域である。中域~高域にかけて上品な質感を持つことと、速すぎないスピード感という点は近いものを感じた。

GENELEC 8050
8050はGENELECらしいハイファイでスピード感のあるサウンド。壁埋め込み式のラージシリーズよりはドンシャリ感は少ない。中域に関しては8050の位相の良さはダントツだろう。しかしKH120Aの方が低域が前に出る。


実際に録ったままでMix作業を行なっていないセッションを立ち上げて聴いてみたが、キックの余韻のいらない部分を簡単に見分ける事ができた。具体的に、特に60~100Hzの低域のダブつきがかなり強調されてハッキリ見えた。
またベースとギターの200~600Hz付近の基音のカラミ具合も認識する事が容易であった。
しかし中高域の質感は、微調整するのには慣れが必要だと感じた。



KH120Aは、入力された音を気持ち良い方向に補正するような事はしていないからか、未完成のミックスをパッと出して整った音になってしまうようなモニターでは無い。不快な音域はしっかり増幅されるため正しい処理をしてあげる事で輪郭を作っていくという作業が必要になる。そういった意味では、ミックスが的確に行える可能性を秘めている。簡単にに気持ち悪い音になって、「その音じゃカッコ悪いよ」と言ってくれるようだ。昨今の、小型スピーカーでも低域がシッカリと出てしまう再生環境に対応するという意味では、このサイズでこの低域の性能はプラスになるだろう。とはいってもやはり中高域の質感はもう少し明るく元気のあるサウンドで聴きたい場合も出てくるかと思う。中高域が得意なスピーカーと本機の2種でミックス出来ればより盤石な処理が行えると思われる。

自宅で使う小型で低域の出る良質なモニターを探している人、手軽な持ち運びを考えている人、買ってよし!
とはいえモニターはできるだけ自分の耳で聴いて決断を下しましょう。

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分