audioleaf WEB MAGAZINE

大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.44 -APOGEE Ensemble-

2012年3月29日13時35分 in レビュー

今月はオーディオインターフェース APOGEE Ensemble(あぽじー あんさんぶる)を試してみた



"Mac専用"オーディオインターフェースと銘打ってあるので、ウインドウズユーザーの方は読んでもまったく面白くないものになってしまう事をお詫びしておく。
僕も試してみるまでそんな事はつゆ知らず。
せっかくこのコーナーを読んでいただいているWindowsユーザーの方に不愉快な思いをさせてしまう事態に陥ることとなったAPOGEEの差別的措置もしくはアップル社との結託をを恨む。

まずフロントパネルには左から電源ボタンと、Hi-Zインプットが2つ、INPUTと書かれたツマミ、1~4のマイクプリを選択している事を表すランプと、それぞれのマイクプリにファンタムON/OFF状態を表すランプ、10本の光る窓、その窓に表示される信号がINPUTなのかOUTPUTなのかを表すランプ、OUTPUTツマミでコントロールしているMAINと2つのヘッドフォンアウトを表すの音量をコントロール右に大きなツマミ、そして2つのヘッドフォンアウトジャックがある。

リアパネルは4つのXLR入力があり、ch1と2にはインサートセンド・リターンがある。これはマイクプリアンプの後、A/D変換の前のポイントに位置している。
インサートセンドは、マイクプリアンプのアウトとして使えるし、インサートリターンは可変ゲインを持たない純粋なラインインプットとして使用できる。
またch3と4にはHi-Zインプットが併設される。
そして5~8のアナログライン入力、1~8のアナログ出力、S/PDIFのデジタル入出力、オプティカルの入出力、2つのFIREWIRE400コネクタ、ワードクロック入出力、ワードクロックのターミネータースイッチ、電源コネクタとなる。



とにかく付属のCD ROMからコントロールソフトウェア"Maestro(まえすとろ)"をインストールし、firewireケーブルでつないで音を出してみようとする。

(

音がでない…と思ったら電源が入っていなかった。
電源スイッチが、待機電力の状態ですでに眩しく青白く光っていたのでてっきり電源が入っているのかと勘違いしたからだ。
電源をコンセントにつないだら電源オンが基本の、プロ仕様の機材かと思ったが、どうも電源が入っていないらしい。
電源スイッチを強く押し込んでみるとド派手な電光が駆け巡りながら、電源がONになった。
前面パネルに眩く光る電光はレベルメーターらしいが、見た目の美しさ以外に実用性はあまり無い。何らかの機材トラブルもしくは結線間違いで音がでない時に、信号がアウトプットジャックから出力されてる"はず"ということを表す目安にはなるかも知れない。
この目盛りも何も振られていないランプを目安にレベル決めを行える人はさすがにいないだろう。
デザインは意図的だと思われるがMacのシルバーボディにピッタリである。

右側に大きなツマミがついており、これがモニター音量をコントロールするロータリーエンコーダーである。



最大の状態で+4dBの業務用機器基準レベルとなる。
このボリュームを回すとmacの画面上にボリュームがコントロールされている事を表すアイコンが現れる。
エンコーダーで音量を下げた状態でリスニングすると、音質的に若干エネルギー感が減る印象が無くはなかった。

自宅でパワードモニターに直結して使う人は、このボリュームを最大にする事はまず無いだろうからその状態でのサウンドの劣化が心配ではある。
しかしこの部分はMaestroで色々と操る事ができるようだ。



Format Selectを"None"に設定するとボリュームコントロールが効かなくなり、8つのアウトプットが全て標準ラインレベルで出力されるらしい。アナログのモニター卓などを使っている人はこの設定が良いかも知れない。
Format Selectを"Stereo"にすると、アウトプット1-2の音量をエンコーダでコントロールできるようになり、さらに5.1 Surroundにするとアウトプット1-67.1Surround1-8

このロータリーエンコーダーは最大にした所で最高の能力が発揮されている。
ボリュームを介さない純粋な+4dB/-10dBのアウトプットが独立して欲しかった。
この機種も8アウトプットを備えており、ボリュームは"アナログ1-2"アウトに効くようになっているので、もしボリュームが精神的に嫌いな人はDAW内部でマスターアウトを"アナログ3-4"以降のアウトプットに送りモニター回線とすればよいが、他のスタジオとDAW セッション/プロジェクトを行き来する場合はいちいちアサインを変更しなければならず、きっと面倒である。


バズーカスタジオB2のコンソール"AMEK Angela"のエクスターナルインプットに、DIGIDESIGN 192ioをつないだスタジオのMac Proと、EnsembleをつないだMacBookProで、それぞれPro Tools を同時に立ち上げ、サウンドの差を聴こうとしてみる。
リファレンスの音源ファイルをプロツールスの"オーディオインポート画面"で再生し、試聴する。

パッと聴きあまり差がない
192ioが1k~3k付近の明るい質感をもっているが
Ensembleは600Hz付近が下がってきこえ、100~200が増えて聴こえ、重心が若干低い
超高域はEnsembleが若干出てる印象だが悪く言えばギラついて聴こえなくもない。
しかしブラインドテストでは分からない自信がある。それくらいの音質差だ。

次にヘッドフォンの音質をチェックしてみる。

何も考えずに前面パネルのヘッドフォン・アウトに愛用のヘッドフォンを挿して聴いてみる。
爆音が鳴り響いたのでボリュームツマミを回すが、ボリュームは一向に下がる気配を見せない。
ボリュームでコントロールする出力を表す小さな目立たないランプがMAINを表している。エンジニアの勘で、ボリュームツマミを力いっぱい押し込んでみるとMacの画面にヘッドフォンとボリュームを示すらしき表示がなされ、ヘッドフォンのボリュームがツマミで操作できるようになった。



さらにもう一度押し込むと小さく目立たない青ランプの上から3つ目が光り、ヘッドフォンと2という数字とボリュームを表す表示が現れたので、ヘッドフォン2の音量を操作できるようになったに違いない。フェンダーのギターアンプとかにも引っ張って音をブライトにするツマミとかがあるが、それと似ている感覚である。試しに引っ張ってみると、ツマミは素直に抜けてしまった。もちろん借り物なので、早急に元に戻しておいた。2つのヘッドフォンの音量をそれぞれ調整できるのは嬉しいが、全てを1つのツマミに集約しようというデザイン重視の構造になっている。モニターボリューム、2つのヘッドフォンボリュームはそれぞれ別のツマミになっていた方が絶対に使いやすい。でも自宅で使うならまあ許せるレベルだろうか。

MacBook Proのヘッドフォンアウトと聴き比べてみる。値段を考えたら当たり前かも知れないがEnsembleの方が解像度が高い。
周波数レンジ的には当然ワイドになる。しかしそれよりも大きな差として現れたのは解像度の部分であろう。
Ensembleは透明度が高く、霧が晴れたように音の後ろにかくれた余韻が手に取ることができるようになる。
鮮度が高く、つややか。もちろん、味や素っ気みたいなモノは無い、。音楽制作で使うオーディオインターフェースにはもちろんそんなものは無用である。いわゆるモニター調の冷ためのサウンドである。


再生に関してはプロ機に遜色ないクオリティを見せた。
次回は、Ensembleを使って音を録音、試聴してみたい。

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分