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大西ワタルのDTM機材メッタ斬り!! Vol.47 - Golden Age Project PRE-73 DLX-

2013年1月31日13時06分 in レビュー

今回はマイクプリアンプ Golden Age Project PRE-73 DLX (ごーるでん えいじ ぷろじぇくと ぷりななさん でらっくす)を試してみた。



本機は、レコーディング機材界の生き神、Rupert Neve (るぱーと にーう゛)さんが1970年頃にデザインした、名機中の名機"1073"(元々は卓に搭載される為のインプットモジュール)のマイクプリアンプ部分を再現したものである。
信号回路にICは使われておらず、高価なタンタルコンデンサーが使用されている。またスイッチ類はリレーであるため、最短のシグナルパスを実現している。さらに、オーディオ回路とリレー、LEDの電源は独立させた設計になっているらしい。

まず目を引くのはこの値段。
今まではNEVEを意識したこの手の機材というのは、NEVEそのものよりは安価だとしても、コンシューマー向けの機器にしては安くないものばかりだった。
しかしこのシリーズは、アマチュアにも手の届く手頃な価格設定になっている。

まず真紅に染められた外観が目を引く。
HPF (OFF/50Hz/ 80Hz/ 160Hz/ 300Hz)
-18dB/octのロールオフで、NEVEと同じカーブである。

DI IN
ギターや、ベースをライン入力する事ができる。
48V
LOW-Z
マイク入力の、入力インピーダンスを1200Ωと300Ωを切り替える事が出来、マイクに合ったよりよい選択をここで行うことが出来る。

LINE/MICのゲイン
最大80dBのゲインを得ることが出来、ゲインの低いリボンマイクなどにも十分に対応する。
NEVEのGAINツマミは左に回すとLINE入力のゲイン、右に回すとMIC入力のゲインとなっている。このムダの無いデザインは称賛に値するが、PRE-73 DLXも踏襲している。クリックの感触はオリジナルより少しだけ小さく感じるがかなり感じは出ている。

OUTPUT

PAD (0dB/ -7dB/ -14dB/ -21dB/ -28dB)
出力トランスの後に設けられているため、GAINを上げ歪ませた音をここで音量を下げて録音機器やオーディオインターフェースに送る事ができる。

Φ
位相を反転させる事ができる。
ベースを、ラインとアンプで同時に録音している時など、このスイッチで位相を反転させて良い方を選ぶ事ができる。逆にこのスイッチが無いと、位相が反転していてスカスカなベースの音になった時に位相反転ケーブルが無いと対処できない。

INSERT
リアパネルにあるインサート端子のON/OFF



今回はドラムの前方上方からキット全体を狙うマイキングで、サウンドをチェックしてみた。マイクはAKG C-414。
C-414はフラットで優秀、音楽的で上品で万能ではあるが、現代的な鮮やかさとかグイグイ前に出る派手さみたいなものは少ない。各種マイクプリアンプの特徴を消し去るような強烈な個性も無い。なのでレコーディングでは何にでも使える超オールマイティで貴重な存在だ。ドラム・ベース・ギター・ピアノ・歌 のどれにでも使える。無人島に持ってくならどのマイク?という質問に対する"無人島マイク"にかなり相応しい機種なのでは無いかと思えてくる。

そのマイクでドラム全体を拾ってみた。
戦わせたのは、NEVEさんが作ったミキサー、AMEK Angela。
AMEKは重心が低くファット。響き重視の音色。対してPRE-73 DLX は輪郭がタイトに表現され、硬質な音像。AMEKとは違った、まさにヴィンテージ"NEVE"のキャラクターだ。ゲインを上げて行くと、輪郭を保ったまま荒々しさが増していく。完全に歪ませた時のサウンドも非常にNEVEに似ている。極端に歪ませると若干、密度感が薄いか。
しかし充分にロックなテイストのサウンドは得意だという事がわかった。

ザラッときめ細かい荒さが欲しい時は非常に良いのではないか。輪郭もボヤけず音が前に出る。NEVEの特徴である、質の良い歪み感もよく再現出来ていると思う。用途としては、ドラムに加えてベース、ギター、ヴォーカルのどれでも、合わない物は無いと思う。
2013年の最新ハイファイサウンドとはちょっと異なるが、ローファイなわけではない。万能であるが、ロックの匂いがどこかに漂うといった感じだろうか。

便利なのは、マイクとライン入力、それにDI入力に、それぞれケーブルをつなぎっぱなしにしておけるところだ。アナログモノシンセとマイクとギターをつなぎっぱなしにしておいて入力セレクターとして便利に使う事が出来る。
それにインターフェースに付属のマイクプリなどとは比べ物にならないクオリティを持っている。

インターフェースに何となくマイクや楽器をつないで録った音に物足りなくなったり、飽きちゃったなーという人は、選択肢の一つとして間違っていない。
また、同社から出ている同じシリーズのEQなども、気になる存在だ。

Written by

名前:
大西ワタル
サイト:
http://bazookastudio.com/
最終更新時間:
2013年05月27日20時38分