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SOUL-D! presents "キョウシカナイ07 WEST" ライブレポート後編

2007年12月13日16時54分 in レポート

イベント情報

Date :2007年10月27日(土)
Place:神戸ARTHOUSE
Title:SOUL-D! presents キョウシカナイ07 WEST
Time :Open 17:00 / Start17:30
Price:¥1,500 / Door ¥2,000 (Drink¥300)

出演者

O.AFGC
1.MONSTER★MAN
2.DAVITZ
3.Silence Disorder
4.THE HORIES
5.gimme five
6.SNAKE BITE SNAKE
7.SOUL-D!

前編に引き続きキョウシカナイ07 WEST @神戸ART HOUSE 後半の模様をレポート。

俄かに会場の空気が活気づく。あたかもそこが「神戸」の地であることを忘れるかのように、全員の期待感がステージに注がれる。そこがどこだろうと、どういう状況だろうと、彼らが間違いなく心を打つステージをみせてくれることを知っているから。最高のROCKがこれからやってくることを知っているから。

【4】THE HORIES(http://www.audioleaf.com/hories/)
いよいよ関東組2番手としてHORIESのステージが幕をあける。かねてから思うことだが、彼らの音楽を形容することは非常に難しい。もちろん根底には「ROCK」というものが確実に存在するんだけれど、ルーツが派生して様々な音楽に昇華していったように、彼らの音楽も様々な派生の上に立っているような気がする。それぞれの聞き方によって、ヘヴィロックにもハードロックにも、はたまたギターロック、ブルース・・数え上げればキリがない。ただここ最近の他のバンドと一線画す部分としては、「何かと何かのフュージョンやミクスチャー」ということではないということ。ROCKという土台の上に数々のスパイスが散りばめられているという話。だから根幹がブレない。HORIESであるということがブレない。なによりもHORIESが作り出す楽曲のセンスがそれを物語っている。各曲ともに3分未満というショートチューンにおさめられていながら、その中には確実にフックとなるメロディとガツンと脳みそを揺さぶられるリフを盛り込み、曲の長さなど気にさせない。曲によって表情は変えるものの、そういう曲の重要な「ファクター」が一切ブレナイ。だからライブだろうが音源だろうが、心に残ってしまうんだろう。この日のライブも彼ら流の「ブレない」ライブそのものだった。異常とも思える程の音圧で責めてくるギターリフからライブが弾ける。本当に耳を疑うほどの爆音にまず度肝を抜かれる。でもラウドだけでは終わらない。「Loop」、「Calling」と珠玉のサビメロがしっかり襲ってくる。新曲も含めてとにかくたたみかけるように名曲が続いていく。その日もし初めてHORIESのライブを見た人がいたとしても、「すごいいい曲」と思える曲だらけなんだ。もちろんライブとして予定調和だといえる部分もあるのかもしれないけれど、コンスタントに最高水準の演奏を提供できるというのがバンドにとって一番の強みなんだとおもう。特にこの日は彼らの意気込み、その日に対する思いが炸裂したという所から、+αの迫力があったように思う。見渡す限りのお客さんが手を上げ、体を揺らし、その音に酔いしれているといった表情を浮かべているのをみると、改めて彼らの音が持つパワーに気づかされたような気がした。最後のRoots it Music まで休むことなく駆け抜けた30分はまさに「恍惚」のステージだった。

イベントもOAを入れて5バンドを消化した。本来ならばイベントとして出演者も御客さんもこの時間になれば疲れもでてきて中だるみもしてしまいそうなところ。だけど改めて「良いイベント」っていうのは疲れなんか忘れるんだということに気づく。本当にあっという間。もう後3バンドで終わりか。。という方が強い。そしてここまで割とガツガツ系なラウドサウンドが並んだ所で、神戸の新しい風がニュートラルなテンションを届けてくれる。

【5】gimme five(http://www.audioleaf.com/gimmefive)
最近のgimme fiveの勢いはすごいと多くの関係者から聞き及んでおり、gimme five初体験となるこの日を非常に楽しみにしていた。神戸では元より、月1ペースなどで東京でも公演を行うなど非常に精力的な活動をこなす。常々思うが、精力的にライブを行い様々なプロモーションをしっかりとした意識を持って行えるということは、自分達がどれだけ自分の楽曲や音源に「自信を持っているかに比例する」と思う。結果などというのは、その自信が「本物」かどうかだけだとおもう。この日の彼、彼女たちのステージからはなんとも言えない「自信」のようなものを感じたし、それが紛れもなく「本物」であるということも証明するステージだった。とにかく繊細かつストイックな楽曲の作りこみが伺える曲構成に全員の確かな演奏力。なによりそれにかまけない熱情的なライブパフォーマンス。勢いのあるバンドのライブとはこうも気持ちのいいものなのかと改めて感じさせてもらった。そして彼、彼女達のステージには様々な「瞬間」が存在することに気づく。「LOOP」のように自然と体が動いてしまう瞬間。Vo.nanaeのぞくっとするような歌に聞き惚れボーッとしてしまう瞬間、彼女の狂気を帯びたとも言える仕草や動きに目を奪われる瞬間。気さくなMCに笑ってしまう瞬間。数々のドラマがそこには存在し、一つの「ライブ」としての物語を紡いでいく。ただただ楽曲を押し付けるというのではなく、空間を作り出していくといったライブが本来持つもっともすばらしい部分が垣間見えたような気がする。当然それは「キョウシカ見れない」唯一の「LIVE(生)」であるのだろうし、御客さんもそれを分かっているからこそgimme fiveの今に酔いしれる。本当に胸のすくような骨太で繊細なROCKをしっかりと受け取らせてもらった。

さあ、「キョウシカナイ」今日も残す所セミとファイナルを残すのみとなった。トリ2バンドへの期待感ともう少しで終わってしまうという一抹の寂しさが相まって、焦燥にもにたなんとも言えない感情的な自分がそこにはいた。周りを見渡せば御客さんも同じ気持ちでそんな表情をしていたように思える。どんなイベントも伝説を残すには、トリ前とトリが最重要であることは間違いない。ここまでの空気は正直いって他に類を見ないほど最高のものができあがっていたとおもう。全ての準備は整った。まずは関西側からのトリ、神戸の暴走機関車が発車する。

【6】SNAKE BITE SNAKE(http://www.audioleaf.com/snakebitesnake/)
とにかく、『圧巻』の一言につきる。これだけのバンドが揃う中でのトリ前であり実質上彼らの地元開催である部分から主役とも言える彼らにかかったプレッシャーは相当だったと思う。緊張もしたに違いない。でも彼らのステージにはそんなものは微塵もなかった。これまでの流れ?「関係ない」誰かの反応?「関係ない」俺らはここで「俺ら」であることを主張するんだ。他の誰よりもその空間を楽しみ、自分達の為の空間とするんだ。そんな完全なまでの最高に心地の良いパラノイアが炸裂していた。音質がどうこう、楽曲うんぬん、当然素晴らしい音を奏でていたし、キメやリズムだって最高水準だってことは言うまでもないけど、そんなことどうでもいい。彼らがステージにいて、躍動して、爆発して、それを見ていることが本当に楽しい。Vocal:masaの狂気じみた表情も、Guitar Omotexの叫びや台詞一つとっても、まさに彼らという「人間」の人生模様、即ち「ライブ」が展開されていく。改めて何かを発信する人にとって重要な事は「人間力」なんだって感じる。彼らが生きてきた道程全てが、ステージを通して投影され僕達の目に、体に伝わってくる。それに呼応するようにその場にいる御客さん全員が加熱していく。彼らのように良い意味で「ワガママ」な人間力に投影されたもんだから、皆がわがままに暴れだす。そう!これこそがライブだよ!アーティスト毎に形の違う人間力があって、それを出していけば、様々なノリが生まれる。当然どんなアーティストにでもできることじゃない。彼らのように確固たる意思を持ち己が精神を保てなければ、不可能だ。彼らの音楽を「カオティック」と片付けられないのは繊細でストイックな彼ら自身が表れているからに他ならなくて、あくまで僕は「整然とした混沌」というパラドックスで称したい。そういった全ての要素を含めた意味で彼らのステージは本当に「圧巻」だった。

稲毛K'SのEASTから始まった2回に渡る「キョウシカナイ」もいよいよ全ての終幕が近づいている。ここまで誰一人としてテンションが落ちることなく、常に笑顔と熱狂が会場を支配していた。そこには地域による壁も、年齢や性別、人種による壁も、一切なかった。主催者であるSOUL-D!が意図した主旨は伝わっていた。「今日という日は二度と来ない。今日を生きろ」全てのステージはそこに向かい、全ての人がそこに向かっていた。音楽が持つパワーを信じて疑わず、行動を起こしてきたSOUL-D!彼らが体現する「今日」が始まる。

【7】SOUL-D!(http://www.audioleaf.com/souldmusic/)
完全に「我」を忘れた。もう何もかもどうでもよくて、『楽しい』ということしかそこには存在しなかった。本当に全ての人が「笑顔」だった。SOUL-D!が奏でる音、リズムの一つ一つが、自らの鼓動と同化していく。ライブってこういうことだよ!客席の誰もが一つの「音」の塊に向かって自分の息を、気持ちをぶつけていく。そこには恥も外聞も体裁すらない。ただひたすらに「楽しむ」という事実だけがあるんだ。日々を個で生きている僕達にとって、他と一体化できる瞬間てどれくらいあるんだろう。この時ばかりは普段嫌いなやつでも好きになれちゃうようなテンションとでもいうだろうか、とにかく誰もが同じものを共有する仲間になれる。しかし彼らが持つその音の力の根底はどこにあるのかと考える。なんていうのか、幾度か彼らのライブを見ているけれど、まずどうしてあそこまでグルーブというものが出てくるのかいまだに分からない。どんなバンドと比べても飛び込んでくる音の質量の絶対値が圧倒的に違う(チープな表現しかできないけれど、本当に聞いたことのない音の塊なんだ)。ギターがバキバキに歪んでるわけでもない、どちらかといえばクランチに近い音だし、ドラムが2バスなわけでもない、更に野太い男性ヴォーカルのスクリームがあるわけでもない。縦のラインというものがあり得ない位のシンクロをみせ、良い意味でミスマッチな程に抜けてくるVocalが絡まるというミラクルが起きるからこそ成せる技なのかもしれない。改めて個々の音の大きさなどではなく、バンドとして音を出すということはこういうことだと知る。よく、バンドが口にすることで「今日は御客さんもノリ悪かったね」などというのは大間違いないんだなきっと。「客がノらなかった」んじゃなく「客をノせられてない」だけなんだよ。彼らのストイックなリズムワークを感じてみるとそう思う。そして何よりもSOUL-D!一人ひとりの感情、「思い」が伝わって来るんだ。前述のSNAKE BITE SNAKEでも書いたように「人間力」がステージの良し悪し、伝達度みたいなものを左右するということが目に見えてわかる。イベントを一つ作るということ、その上で来てくれた人に対してどのような気持ちで音を届けるのかということ。SOUL-D!が持つ意識が最後の最後に来て炸裂したんだと思う。ギターHIDE氏が愛するバンドに対してのコメント、愛するが故に許せないこと、その上でのカバー演奏。音楽を、バンドを愛しているからこそできる、真剣な目にこそそんな全ての思いが詰まっていたんだろう。演奏が終わっても幾度も鳴り止まないアンコールが、「キョウシカナイ」その日を象徴していた。本当に心からあのような気持ちにさせてくれたことを感謝したい。

冒頭でも触れたように、現在多くのライブイベントというものが日々各地で切られていると思う。当然その中には今回のように「気持ち」の詰まったイベントもあるだろう。でもどれだけあるんだろう。イベントとは名ばかりでバンドが集まってライブをやるだけの「会」になってやしないだろうか。開催者の気持ちが詰まった温かい今回のようなイベントに参加して改めてそう思う。目に見えない「気持ち」や「意識」といったものが大きくイベントの内容を左右する。きれいごとかもしれないけれど、肌で感じてしまったのだから。

「キョウシカナイ」もし08も開催があるのだとしたら、僕はどんなことがあっても会場に足を運ぶだろう。。 多くの感動と最高の音楽を届けてくれた出演者の皆、参加するきっかけをくれた主催のSOUL-D!に心から感謝する。。

Written by

名前:
Low-K
最終更新時間:
2009年10月19日13時50分