audioleaf WEB MAGAZINE

あなたが本当にプロのミュージシャンになりたいのであれば。 第2回「ボーカルについて」

2009年4月08日20時54分 in コラム

もちろん上手いに越した事はないというのを前提に、ボーカルは上手ければ良いというものではないと僕は思っています。

正確なピッチ、グルーブを絶妙に捕らえれるリズム感。幅広い声域、溢れる声量。
それは音楽の完成度を上げるためには無くてはなりません。
でも、それだけでは音楽的快感が生まれないのが音楽の不思議なところです。
大事なのはむしろ「声質」だと思っています。
誤解を恐れずに言うと例えばニール・ヤング、ブライアン・フェリー、松任谷由実、小沢健司、ボビー・ギレスビーなど、そういう意味では決して上手いボーカリストではないけれど、深い音楽的快感を呼び覚ましてくれるボーカルを聞かせてくれます。
透き通るような綺麗な声というのは音楽的美しさでもありますが、それと真逆のジェームス・ヘッドフィールド、マーク・ボラン、ジャニス・ジョップリン、ジョニー・ロットンあるいは森新一と、いわゆる美声とは言いがたい、けれども魅力のあるボーカリストは数多くいます?

魅力的な声の条件は印象に残る声であるか、どうかなのではないかと思っています。
前述のボーカリストの名前を聞いただけで頭の中で彼らの声を思いおこせると思います。
スピッツの草野正宗などは、その声を頭の中でイメージしただけでも何か爽やかな風が駆け抜けたような気さえします。
その理由は、そのボーカリストでしか出せない特徴的な声質だという事になるのではないでしょうか。

もうひとつ声の魅力というのは倍音成分がどれだけ含まれているかどうか、なのではないかと思っています。
倍音というのはその音程だけではなく、譜面では表せない微妙なオクターブの上下、あるいはハーモニーの音が含まれているという事です。

そして倍音というのは、人間に生理的な快感をもたらすのです。

自然界の全ての音には少なからず倍音が含まれているそうです。
携帯のデジタル呼び出し音が不快に感じるのは全く倍音が含まれていないからだと聞いたことがあります。
バイオリン、サックスといったアコースティックな楽器の倍音はもちろんですが、エレキ・ギターのディストーションというのも歪ませた音に多量の倍音が含まれているのが生理的快感なのです。(The Birthdayのチバユースケの声はナチュラル・ディストーションですよね)

ボーカリストを目指す皆さん、あなたの声はどうですか?
椎名林檎は、昔は自分の声が嫌いだったそうです。山下達郎は、こんな声じゃなかったらハードロックが歌いたかったそうです。

天から与えられた自分の声は自分ひとりしか持っていません。
是非、それを大事にして、あなたただけにしか歌えない歌を聞かせて下さい。

Written by

名前:
Great Hunting
サイト:
http://www.great-hunting.com/
最終更新時間:
2010年02月05日18時39分